2005 Fiscal Year Annual Research Report
抗ヘルペスウイルス剤耐性の迅速検索用細胞株の樹立と複製開始に特異的な阻害剤の創製
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16017312
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
井上 直樹 国立感染症研究所, ウイルス第1部, 室長 (90183186)
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Keywords | 水痘帯状疱疹ウイルス / 転写活性化 / 点突然変異 / 抗ウイルス剤 / アシクロビル / 薬剤耐性 |
Research Abstract |
水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)ORF9プロモーターについて欠失変異を作製し、感染に伴う活性化に必要十分な最小プロモーター領域をORF開始点上流17-166の93塩基対に同定した。この領域内に転写活性化因子USFの結合配列が見出されたので、点突然変異を導入した結果、プロモーター活性の低下が見られた。VZVのORF28プロモーターでもUSF結合配列が重要であることが示されていることから、VZVの転写活性の中心的役割を果たすIE62蛋白とUSFの間に何らかの相互作用があることが推測される。なお、VZVのVZV ORF9プロモーター最小領域93bpをタンデムに結合すると活性が倍化した。ORF9の最小プロモーター領域をタンデムに結合したレポータープラスミドを利用してMeWo細胞よりVZVの感染力価を測定できる細胞株を樹立し、その感度と特異性を明らかにした。この細胞株を用いて、プラーク法を用いて報告されている感染初期過程に対する阻害剤の50%阻害濃度を現在より遥かに短い期間である2日間で測定できることを実証した。さらに、共培養の方法によりDNA複製阻害剤であるアシクロビル(ACV)の効果を検証した。細胞フリーウイルスの感染に比して、感染細胞を接種すると、ACVの阻害濃度が数倍高くなることが見られた。チミジンキナーゼ欠損によりACV耐性となったVZV株2株を例に、4倍程度の阻害濃度の差に基づき樹立した細胞株を用いて簡便に薬剤耐性株を同定できることを検証した。
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