2004 Fiscal Year Annual Research Report
兵庫県下に保存された江戸期測量・計測器具に関する基礎研究
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16018211
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
三浦 伸夫 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (20219588)
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Keywords | 和算 / 数学史 / 測量術 / 計測器具 |
Research Abstract |
1.大島喜侍のように大阪の算家・測量家でありながら、兵庫県下の弟子(淡路の広田直道など)を得た者もあり、京阪神や畿内のネットワークがあった。 2.測量術にも長けた中西流(中西正好)が穂積与信を介して姫路に伝わり、その後、姫路で中西新流(清野信興)、中西再新流(田中政信)、中西再新新流(石田正義)が興った。 3.最古の和算家のひとりである毛利勘兵衛重能は、姫路城天守閣建設の三好輝政のかつての臣下であったという伝があるが、また慶長度方広寺の大仏殿造営に関する算用奉行でもあったと推測できる資料も存在する(ただし、そこでは毛利勘右衛門と記されている)ので、和算と建築や測量は初期より関係があったことが示唆できる。 4.測量家の資料から、伊能忠敬の訪問が淡路の広田直道など各地で測量術に関する多大な影響を与えたことがわかる。 5.地租改正(明治9年)では多くの和算家・測量家が動員され、測量にあたったという,彼らの使用した器具はまた江戸の流れを汲むものである。これはまた明治と江戸を明確に分けることも出来ないことを意味し、したがって、神戸の海軍操練所における、陸奥陽之助、望月亀弥太などもその射程で捉えねばならない。 6.兵庫にかぎるものではないが、測量器具も明治期に国内の美術品等と同様工芸品として海外に流失した。 7.醤油や酒の樽の計測はその形状から容易ではないが、そこには尺棒が用いられ、そこで読み取られた数値を換表と突合せ樽の容量を見出した.これは同じ頃の西洋のgaugingやVisierkunstと比較できる。 8.測量は鉱山、とくに銀鉱出(たとえば生野鉱山)で重要であったが、和算家と鉱出との関係が示唆できる。
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Research Products
(2 results)