2004 Fiscal Year Annual Research Report
江戸時代伊勢地域における科学技術及び他地域との交流に関する資料の調査・研究
Project/Area Number |
16018220
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Research Institution | Mie Chukyo University |
Principal Investigator |
上野 利三 松阪大学, 政策学部, 教授 (70151818)
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Keywords | 測量 / 漑灌池 / 土木 / 本草学 / 万古焼 / コンピューター画像解析 / 長崎出島 / 遺跡・遺物 |
Research Abstract |
江戸時代の蘭学興隆の基礎を青木昆陽と共に築いた野呂元丈(勢和村出身)を初め、大槻玄沢門下の越村図南や、緒方洪庵門下の角倉玄碵などは伊勢出身の医学者・本草学者として著名であって、2004年6月12日に津市の三重大学で行れた特定領域研究第4回国際シンポジウムにおいて討議の対象とされた。3日目のエスカーションでは、野呂の出身地において、自筆本の展示会などを実施した。また伊勢商人竹川竹斉がペリー来航直後に人材育成のために創設した射和文庫所蔵の土木・天文・地理、本草測量に関する書物についてご当主竹川裕久氏らと共に検討を加え、とくに写真撮影を完了し全巻の解読作業も終盤に入っている漑灌用池の普請日記は公刊の準備を進めている。津市図書館の井田文庫・橋本文庫・稲垣文庫を調査する過程で大量の天文地理本草の書と器物が所在することが判明。その縁で本草学者岡安定関係の日記外資料も子孫宅に残されていることが分かり、津市文化課と協力して、調査の運びとなった。岡は百五銀行の初代支配人で、頭取の川喜多家とは本草仲間であり、竹川もこのグループの一員。竹川の「万古窯釉之法」は江戸前期の桑名の沼波家から伝承した聞取書で、明治5年に射和文庫を訪問した文部省蜷川式胤も関心が高く、竹川家に書を残していることが判明した。並行して一昨年に明日香石神遺跡から発掘された木簡暦の未詳文字の解読、及び高松塚古墳壁画の男子像の胸の掛袋に「百済」という文字を読み取る結果を公表した。コンピューター画像解析という手法によるものであるが、今後の活用を期したい。
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