2004 Fiscal Year Annual Research Report
幕末〜明治期における大名・華族の撮影写真と技術開発に関する研究
Project/Area Number |
16018228
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Research Institution | The Tokugawa Reimeikai Foundation |
Principal Investigator |
白根 孝胤 財団法人徳川黎明会, 徳川林政史研究所, 研究員 (60370178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深井 雅海 國學院大學栃木短期大学, 教授 (60320628)
太田 尚宏 財団法人徳川黎明会, 徳川林政史研究所, 主任研究員 (40321666)
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Keywords | 日本史 / 写真 / 大名・華族 / 技術開発 / 尾張徳川家 |
Research Abstract |
本年度は、開国以降に伝えられた最新の西欧科学技術に高い関心を示していた尾張徳川家を中心に、現存する古写真群、および関連史料の調査・収集を行った。 幕末・明治維新期の尾張家では、当主徳川慶勝のもとで写真研究が行われていたが、その具体像を提示するため、慶勝直筆の写真研究書である「諸品新聞書」、「旧習-新記」(ともに徳川林政史研究所所蔵)を翻刻し、内容を検討した。これにより、慶勝は家臣・洋学者、蕃書調所の蘭学者を動員して、技術開発書の翻訳や撮影・現像に必要な知識として化学・物理学の研究を行っていたこと、長崎・横浜・名古屋などの技術者や他の大名家・華族との協力を確保し、全国的規模の情報ネットワークを形成していたこと、などが明らかになった。なお、これに関連して名古屋市蓬左文庫に所蔵されている慶勝の写真研究史料も調査・収集した。 また、古写真の被写体(肖像写真・城郭・武家屋敷・景観など)の内容や撮影技法を分析するとともに、現存する写真原板について調査した。その結果、尾張家では、西洋的構図法に基づいた撮影実験が頻繁に行われるとともに、コロジオン湿板の原板が多数残っていることが初めて明らかになり、その技術もかなりの高水準であることが判明した。この点は、東京都写真美術館学芸課専門調査員金子隆一氏をはじめとした、外部の研究協力者との連携による研究成果である。 さらに、古写真のデジタル処理作業を行ったが、これまで不鮮明であった部分の解析が可能となり、当時の大名屋敷・庭園などの様相をより詳細に確認することができた。 来年度も引き続き、所蔵研究機関との連携を図りながら、古写真群や写真研究書、および写真研究の実態が確認できる各大名家・華族の日記・記録類、器物資料などを調査・収集するとともに、収集史料保存のためのデジタル処理や、関連史料目録の作成とデータベース化の作業も推進していく予定である。
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Research Products
(1 results)