2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16018233
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Research Institution | Kyoto National Museum |
Principal Investigator |
尾野 善裕 独立行政法人国立博物館京都国立博物館, 学芸課, 主任研究官 (40280531)
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Keywords | 京焼 / 技術系譜 / 陶磁 |
Research Abstract |
京都・大阪市内の遺跡から出土した、初期の京焼と目される施釉陶器と、中国の華南三彩に伝世・出土品の釉薬の蛍光X線分析を実施した。その結果、いずれも鉛ガラス系の共通する釉薬の技法であることが確認され、既に肉眼観察から想定されていた両者の関係について、より客観性のある裏付けをえることができた。 また、国内では瀬戸・美濃地域(東海地方)・肥前地域(九州)、海外ではベトナムで窯跡出土陶片等についての肉眼観察調査を実施した。とりわけ、成形の際のロクロ回転に関する情報の収集に努めたところ、初期の京焼と目される出土品・伝世品は、いずれも瀬戸・美濃地域との共通性が高く、肥前地域とは異なっていることが判明した。併せて実施した窯道具についての調査でも、仁清・乾山といった江戸時代前期を代表する陶工の窯跡から出土する窯道具が、いずれも瀬戸・美濃地域の窯道具との高い共通性をもつことが判り、京焼陶工の瀬戸での技術伝習や、瀬戸系陶工の上京といった古文献上の記載が、けっして事実無根の伝承ではないことを明らかにできた。 以上の調査研究成果については、2005年1月に大手前大学で行われた研究集会「窯構造・窯道具からみた窯業-関西窯場の技術的系譜をさぐる-」で報告し、同時に刊行された資料集の中でその概要について述べた。 このほか、京焼の伝世品調査の一環として建仁寺塔頭所蔵品の調査を実施し、今後の研究に資するため、調書作成を行った。
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