2004 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍原性ヘルペスウイルスと宿主Notchシグナル伝達系との相互作用
Project/Area Number |
16021210
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
北川 元生 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (40262026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張ヶ谷 健一 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40101894)
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Keywords | Notch / Mastermind / EBウイルス |
Research Abstract |
膜一回貫通型受容体分子であるNotchは、リガンドと結合すると膜貫通ドメインが限定分解され、遊離した細胞内ドメイン(NICD)がDNA結合タンパク質であるRBP-Jと会合し、標的プロモーターに結合して転写を活性化する。我々が同定したヒトタンパク質Mastermind (Mam)-1、Mam-2、Mam-3は、NICD/RBP-J複合体に結合してこれを安定化し、NICDによる転写活性化を増強する。一方EBウイルスのoncoproteinであるEBNA2は、RBP-Jを介してDNAと結合し標的遺伝子の転写を活性化する。 複数のEBNA2陽性バーキットリンパ腫細胞株、EBウイルスの試験管内感染により不死化した細胞株において、EBNA2とMam-2が複合体を形成していることを見いだした。EBNA2はEBウイルス陰性バーキットリンパ腫細胞株においてEBウイルス由来の標的プロモーターを転写活性化するが、Mam-2の共発現はこれを強く抑制した。このときMam-2のC端部分が抑制に必須であった。Mam-1、Mam-3の発現の影響は小さかった。NICDもまたこのプロモーターを活性化したが、Mam-1、Mam-2、Mam-3の共発現はいずれもこれを増強した。以上から、Mam-2はEBNA2の機能を抑制するという特異な機能を持つと考えられた。 Mam-1、Mam-2、Mam-3それぞれの遺伝子欠失マウスの作製に引き続き取り組んでいる。現在Mam-1、Mam-2のキメラマウスが得られている。 PecanexはNotchシグナル伝達系の調節因子の候補として、ショウジョウバエの遺伝学的スクリーニングで見いだされた遺伝子である。われわれはPecanexのヒトホモログについて検索し、このタンパク質が哺乳類の細胞でNotchと複合体を形成し、Notchシグナルを増強することを示す結果を得ている。
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