2004 Fiscal Year Annual Research Report
DNA組換え修復タンパク質群による発がん防御の分子機構
Project/Area Number |
16021251
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
胡桃坂 仁志 早稲田大学, 理工学術院, 助教授 (80300870)
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Keywords | 遺伝子及び染色体 / タンパク質と酵素 / 構造生物学 / X線結晶解析 / 酵素異常 / 生体高分子構造・機能 / 染色体構築・機能・分配 / 遺伝情報再編 |
Research Abstract |
がん化の原因となる二重鎖切断は、相同組換えを経由した"相同組換え修復"経路によって修復される。相同組換えでは、"相同的対合"と呼ばれる過程で物理的なDNA鎖の対合と交換が行われる。これまでに、相同的対合において働くと考えられるヒトのタンパク質として、Rad51、Rad51B、Rad51C、Rad51D、Dmc1、Rad52、Rad54、Rad54B、Xrcc2、Xrcc3等が報告されている。これらの遺伝子は細胞のがん化防御に重要であると考えられている。本研究では、Rad51パラログ(Rad51B、Rad51C、Rad51D、Xrcc2およびXrcc3)に着目した。Rad51パラログの欠損は、高頻度の染色体断裂を伴う染色体異常、シスプラチンやマイトマイシンCなどの抗がん剤への感受性充進、そしてX線に対する抵抗性の低下などが報告されており、細胞のがん化との関連が注目されている。そこで、まずヒト細胞内での存在が確認されている2種類の複合体(Xrcc3-Rad51C複合体およびBCDX2複合体)のうち、その解析が立ち後れているBCDX2複合体(Rad51B、Rad51C、Rad51D、Xrcc2)の再構成をリコンビナントタンパク質によって行った。そしてBCDX2複合体が組換え中間体であるHoliday構造やY型DNA構造に特異的に結合すること、強いアニーリング活性を有することなどを明らかにした。また、相同的対合反応の中心酵素Rad51は、白血病細胞においてTyr315が恒常的にリン酸化されるが、そのTyr315がポリマー形成に重要で、なおかつ単鎖DNAに対する結合部位に含まれることを明らかにした。さらに、Rad51のホモログであるDmc1の立体構造解析に成功した。ヒトDmc1は、8量体のリング構造を基本とする16量体のダブルリング構造を形成していた。
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Research Products
(7 results)