2004 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍壊死因子(TNF)、転写因子NFκB経路によるがん化防御機構の解析
Project/Area Number |
16021262
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
土井 貴裕 独立行政法人理化学研究所, 生体情報総合技術開発チーム, サブチームリーダー (60227684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三瀬 節子 独立行政法人理化学研究所, 生体情報総合技術開発チーム, 開発研究員 (00269052)
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Keywords | NF-kB / RelAサブユニット / TNF / TNF耐性 / 遺伝子発現プロファイリング / Brca1 |
Research Abstract |
1.目的:腫瘍壊死因子(以下TNFと記す)と転写因子NF-kB/RelAサブユニットの両方の欠損状態の細胞は、高頻度にがん化へと移行する。これまでに言われていたTNFによるがん細胞でのアポトーシス誘導機構とは別に、TNF-RelAの経路が正常細胞のがん化の過程を抑制していることを示唆するものである。申請者は、この腫瘍抑制を担っている遺伝子群を同定し、新たな発がん防御に関与する因子の同定、その活性化機構を明らかにする。 2.結果と考察:転写因子NF-kB/RelAサブユニットを欠損する細胞をTNFによって刺激した結果、一部はTNF感受性のためにアポトーシスを起こしたものの、耐性を得た細胞は不死化し腫瘍形成能を有することを示した。網羅的な遺伝子発現プロファイリング解析結果では、これらがん化したTNF耐性のRelA欠損細胞株は、不死化するに当たり抗アポトーシス遺伝子群の突然変異的な発現上昇は見られず、細胞周期促進遺伝子群の発現上昇が見られた。このことから、転写因子NFkBは腫瘍化を引き起こすような細胞周期促進遺伝子群を負に制御する因子の転写を制御していることが示された。 がん化していないRelA欠損細胞と正常細胞の遺伝子発現プロファイリングの比較から、がん抑制遺伝子Brca1がRelA依存性にTNFで誘発されることが見出された。このBrca1遺伝子が染色体の安定性維持を司る機能を有していることが示唆されている。このことから、RelA欠損細胞の場合はBrca1の発現がないために染色体が不安定化し、Brca1欠損細胞に類似の発現様式、腫瘍化の頻度の増加が観察されたと考えられる。
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Research Products
(2 results)