2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16022219
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 華子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00332370)
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Keywords | がん / 細胞周期 / DNA複製 / Cdc6 / 足場依存的増殖 / カテプシン / システインプロテアーゼ / タンパク質分解 |
Research Abstract |
線維芽細胞を含む間葉系細胞の増殖には、細胞外マトリックスを形成する"足場"が必要であり、これが無い状況下ではG1期に停止する。我々はこれまでに、S期開始因子であるCdc6が足場の有無に応じてタンパクレベルで発現の制御を受けることを見出しており、がん化に伴う足場非依存的増殖のメカニズムを解明の鍵であろうと考えている。 Cdc6は、通常はユビキチン分解系による制御を受けているといわれている。近年我々は、上述のG1/S期におけるCdc6タンパクの発現制御には、通常のユビキチン系とは別のタンパク分解系が関与していることを見出した。種々の阻害剤を用いて検討を行った結果、足場依存的にCdc6タンパクの分解制御を担っているのはシステインプロテアーゼファミリーに属する酵素であり、その中でもカルシウム依存性の無いカテプシンであることが明らかになった。 カテプシンはリソソームプロテアーゼの総称であり、活性部位、基質特異性、阻害剤との相互作用、分子量などによって分類されている。本年度、我々はNP-40を加えて小胞体等の細胞小器官を破壊したNRK細胞及びHela細胞の細胞抽出液中に強いCdc6分解活性が存在すること、このCdc6分解活性を示した細胞抽出液中にはカテプシンLやBの発現することを確認した。更にCdc6の分解はシスタチンCによって効果的に抑制されCA-074-MEでは抑制されないことも明らかにし、カテプシンBではなくカテプシンLとその類似酵素がCdc6タンパク発現の制御因子である可能性が高いと結論付けるに至った。In vivoと同時に精製酵素を用いたin vitroの分解実験においても同様の結果となることを確認し、カテプシンLに加えてカテプシンL類縁酵素であるカテプシンK, VらもCdc6タンパクの分解活性を有することを明らかにしている。 現在はCdc6の制御領域の特定に着手しており、分解制御を受けない変異型Cdc6の構築とその発現株の樹立を進めている。
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