2004 Fiscal Year Annual Research Report
ケモカインCXCL12の細胞動態制御、血管研成における作用機構に関する研究
Project/Area Number |
16022235
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長澤 丘司 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (80281690)
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Keywords | ケモカイン / 骨髄 / 転移 / 血管形成 / ホーミング |
Research Abstract |
骨髄の微小環境は血液系腫瘍、骨転移腫瘍など、がんの病態形成においても重要である。骨髄の主要血球成分のひとつであるBリンパ球において、最も初期の前駆細胞(プレプロB細胞)、最終分化した形質細胞は、ケモカインCXCL12を必要とする。骨髄のCXCL12発現細胞とIL-7発現細胞を可視化すると、CXCL12発現細胞は、ストローマ細胞の一部であり、IL-7発現細胞と異なる細胞で、両者は一定の間隔をあけて分布していた。プレプロB細胞は、CXCL12発現細胞の細胞体に結合、さらに、プレプロB細胞の次の発生段階でありIL-7を必要とするプロB細胞は、CXCL12発現細胞を離れ、IL-7発現細胞に結合していた。骨髄で産生されたBリンパ球は、脾臓に至り、抗原刺激後、形質細胞に分化し骨髄に帰るが、形質細胞の大部分は、CXCL12発現細胞に結合していた。以上より、骨髄において、CXCL12発現細胞、IL-7発現細胞は、Bリンパ球の分化段階特異的なニッチ(特定の機能を担う特定の微小環境)として機能する細胞であること、血球の分化に伴う局在とニッチ間の移動がはじめて明らかになり、その局在と維持をCXCL12が正に制御することが示唆された。これらの知見は、CXCL12発現細胞が、形質細胞由来の多発性骨髄腫細胞を含む血液系腫瘍細胞のニッチである可能性を提示する他、CXCL12の白血病の病態形成、がんの骨転移における役割が報告されていることから、腫瘍細胞とニッチを含む骨髄の微小環境との相互作用の理解においてきわめて重要であると考えられる。一方、胎生期の腸を栄養する血管の形成においては、臓器特異的な血管形成機構が存在し、CXCL12は、隣接する大型の動脈と原始血管叢を結合させることにより、血管形成を支持することが示唆された。
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Research Products
(3 results)