2004 Fiscal Year Annual Research Report
癌の浸潤・転移に関わるLutheran/B-CAMの研究
Project/Area Number |
16022252
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
吉川 大和 札幌医科大学, 付属がん研究所, 助手 (20274227)
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Keywords | ラミニン / Lutheran / B-CAM / 基底膜 / 細胞接着 |
Research Abstract |
Lutheran/B-CAMは、卵巣癌で発現が上昇する抗原として発見された経緯を持つイムノグロブリンスーパーファミリーのひとつである。最近、研究代表者はLutheran/B-CAMがラミニンα5鎖と特異的に結合することを報告した(J.Biol.Chem.(2002)277,44864-44869)。ラミニンα5鎖はγ1鎖とβ1またはβ2鎖の三量体を形成し、ラミニン-10/11(α5,γ1,β1/2)として生体の殆どの基底膜に分布する。このことから癌細胞が基底膜に浸潤する際に、Lutheran/B-CAMとラミニンα5鎖の相互作用が関与している可能性が高い。しかしながら、Lutheran/B-CAMの発現や機能はほとんど明らかになっていない。本年度の研究では、癌細胞株におけるLutheran/B-CAMの発現やラミニンα5鎖上における細胞接着への関与を解析し、さらに卵巣癌以外のヒト癌組織における発現を検討した。その結果、癌細胞株における発現では転移性の弱いまたは高分化の細胞ほどLutheran/B-CAMの強い発現が観察された。また、ラミニンα5鎖における細胞接着では、発現の強い細胞は紡錘状の形態を示し、弱い細胞はフラットな形態を示した。細胞接着実験では、独自に作製した組み換えラミニン40(ラミニンα5鎖を含む)を使用し、あわせてLutheran/B-CAMの結合部位の同定も行った。さらにヒト肝細胞癌組織における免疫染色により、正常の肝細胞では見られないLutheran/B-CAMが、高分化型よりも低分化型の肝細胞癌で強く発現するのを見出した。以上、Lutheran/B-CAMが癌細胞の接着とその形態を制御する分子であることが示唆され、さらにLutheran/B-CAMが肝細胞癌の分化度を診断する有効なマーカーとなる可能性が示された。
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