2004 Fiscal Year Annual Research Report
Chk2によるp53活性制御とがん抑制メカニズムに関する研究
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16022267
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Research Institution | National Institute for Longevity Sciences,NCGG |
Principal Investigator |
本山 昇 国立長寿医療センター, (研究所)・老年病研究部, 室長 (50277282)
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Keywords | Chk2 / p53 / アポトーシス / DNA損傷 / がん抑制 / 転写 / ミトコンドリア / HistoneH1.2 |
Research Abstract |
細胞内のゲノムDNAは紫外線や電離放射線のような環境からの刺激及び代謝の結果として生じる活性酸素などの酸化ストレスによって常に損傷を受けている。ゲノムDNAの恒常性の維持はDNA修復を行うための細胞周期停止及びアポトーシスを誘導するDNAダメージチェックポイント機構に依存している。がん抑制遺伝子産物p53は、細胞周期停止・アポトーシス誘導・細胞老化誘導の中心的な制御因子として作用しがん化を抑制している。なかでもp53のアポトーシス誘導活性は、がん化抑制の最も重要な機能であると考えられている。Chk2はDNA損傷に応答したp53の転写因子としての活性化を介したアポトーシス誘導に重要な機能を果たすことを明らかにしてきた。近年、p53がDNA損傷に応答して、ミトコンドリアへ移行し転写活性非依存的にアポトーシスを誘導すること、また、HistoneH1.2もp53依存的に核から細胞質に放出され直接ミトコンドリアを介したアポトーシスを誘導することが報告された。そこで、p53及びHistoneH1.2の転写活性非依存的アポトーシス誘導におけるChk2の機能を明らかにするために、Chk2ノックアウトマウス由来の胸腺細胞において、p53及びHistoneH1.2のミトコンドリア移行を解析した。Chk2欠損胸腺細胞においては、DNA損傷の応答したp53たんぱく質の安定化が減少しており、それに伴いp53及びHistoneH1.2のミトコンドリア移行が著しく減少していた。これらの結果より、Chk2はp53の転写活性依存的及び転写活性非依存的アポトーシス誘導活性をp53たんぱく質の安定化及び活性化を介して制御していることが明らかになった。
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Research Products
(8 results)