2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16023213
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石井 和之 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20282022)
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Keywords | 光線力学的治療 / フタロシアニン / ポルフィリン / 一重項酸素 / 励起多重項状態 / 光増感剤 / 癌 / 光毒性 |
Research Abstract |
本研究では、新たな癌治療法として注目されている光線力学的治療(PDT : Photodynamic Therapy)における光増感剤フタロシアニン(Pc)を多機能化することで、効果的な光増感剤創製への新しい原理を見出すことを目的とする。現存するPDT用光増感剤は、癌細胞以外でも光毒性を示し、体外に排出されるまで皮膚が光過敏状態になるという改善点を有する。そこで本年度は、皮膚の光過敏状態を軽減するため、光毒性の原因となる一重項酸素を、太陽光では生成せず、特定のレーザー照射条件下においてのみ効率的に生成する光増感剤の創製を試みた。 (1)Pc光増感剤がラジカルと結合することで、(1)一重項酸素生成効率が上昇すること、(2)癌細胞HeLaへの光毒性を著しく上昇すること(Free Rad.Biol.Med.に掲載予定)を明らかにした。腫瘍部位においてのみ、このラジカル結合型Pcを生成できれば、腫瘍部位選択的PDTが可能となると期待し、生体組織透過性の高い近赤外光により、ラジカル生成する色素の創製を行なった。ホモ開裂ラジカル生成には紫外光が必要というこれまでの常識に反し、近赤外光でもラジカル生成するPc光増感剤の開発に成功した。また、近赤外光により、ラジカル結合型Pc形成が期待できる光増感剤二量体も合成した。 (2)COを軸配位子に持つRuポルフィリンの光脱CO反応が、可視領域の定常光では起こらず、可視光パルスレーザー段階的2光子励起によってのみ起こることを見出した(Inorg.Chem.に掲載)。この反応を利用し、生体組織透過性の高い650nmのパルスレーザーで脱CO反応を起こすRuPc光増感剤の創製にも成功し、パルスレーザー選択的PDTを行うための指針を得た。 このように、腫瘍選択的に光線力学的効果を向上するための新規指針を得た。
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Research Products
(5 results)