2004 Fiscal Year Annual Research Report
HLA半合致graftを用いた、GVHDを伴わない、GVL効果発現の研究
Project/Area Number |
16023238
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小川 啓恭 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (80194447)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤岡 龍哉 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
|
Keywords | 同種骨髄移植 / graft-versus-host disease / graft-versus-leukemia effect / HLA不適合移植 |
Research Abstract |
同種骨髄移植は、HLA適合ドナーを用いることにより、確立した治療法である。しかし、昨今の少子化の影響により、事実上、血縁にHLA適合ドナーを見い出すことは極めて困難になってきた。一方、HLA不適合移植は、graft-versus-host disease(GVHD)や拒絶の問題があり、臨床の場で行うことは困難である。最近、移植前処置がもたらす炎症性cytokineの増加がGVHDの発症に関わっているということが判ってきた。そこで、我々は、前処置の強度を緩めた、骨髄非破壊的前処置を用いて、HLA半合致移植を行うことを考案した。この方法での移植が可能になると、骨髄移植において、ドナーの問題ははぼ解消される。26人の難治性悪性血液疾患に対して、HLA半合致(GVH方向2-3抗原不適合)ドナーから、ミニ移植を行った結果、1人を除いて全員、ドナー血液細胞の生着に成功した。移植後のdonor/recipient chimerism解析では、前処置の強度を落としたにもかかわらず、T細胞、顆粒球、単球の全てのlineageにおいて、移植後早期にfull donor chimerismが成立していた。このことは、HLA抗原の違いに基づく、強力な抗白血病免疫反応(graft-versus-leukemia効果)が惹起されることを示している。事実、全員予後不良患者であったにもかかわらず、再発率は24%と低率であった。さらに、2度の同種造血幹細胞移植を受けた急性骨髄性白血病患者の微少残存白血病(minimal residual disease=MRD)を、WT1 assay(白血病に特異的に発現するWT1遺伝子発現をRT-PCRで定量)により、monitoringすることによって、HLA半合致ミニ移植が、通常の骨髄破壊的前処置によるHLA適合移植より、GVL効果が高いことが証明された。一方、早期にfull donor chimerismが得られたにもかかわらず、重症GVHDの発生が12%と低く抑制されていたことが重要である。そのmechanismを解析する目的で、移植後患者の血清中のcytokineのmonitoringを行った。その結果、TNF-alpha、IFN-gammaといったTh1 cytokineの上昇は少なく、IL-4、IL-10といったTh2 cytokineの上昇が認められた。このことは、骨髄非破壊的前処置とsteroidを含むGVHD予防との併用が、Th2へのskewingを惹起し、重症GVHDの発生を防いだ可能性がある。
|
Research Products
(6 results)