2004 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオミクスによる脳神経系腫瘍の診断・治療法の基礎開発
Project/Area Number |
16023252
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
荒木 令江 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 講師 (80253722)
|
Keywords | プロテオミクス / differential display / トランスクリプトーム / シグナルネットワーク / グリオーマ / 抗癌剤感受性 / 2D-DIGE / clCAT |
Research Abstract |
脳神経系腫瘍の発生初期から進行度や予後予測、薬物治療効果などをモニタリングできる簡便な臨床マーカーを検索する目的で、ヒト脳神経系組織・細胞のプロテオームデータバンクの構築、及び最新の高感度proteomic differential display法による腫瘍関連組織・細胞の解析法の検討を行っている。本研究では、gliomaの形成進行に関連して変化する蛋白質群の検出・同定を、患者脳組織、神経系培養細胞を用いて、2D-DIGE法とnanoLC-MASショシトガン法(clCAT法およびiTRAQ法)を用いたProteomic Differential Displayによる定量的蛋白質情報、及び同時進行で得たmRNA発現情報を統合して、最も重要な細胞内異常シグナルの抽出を試みた。Proteomic Differential Display法では、ヒトGliomaにおいて腫瘍化に関わるものとして221個、薬剤耐性に関わる201個の特異的な蛋白質を検出・同定した。これらにはリン酸化修飾の差異の見られる28個の特異的分子を含め、既知の腫瘍関連分子のみならず腫瘍マーカーとして興味深い分子群が多数含まれていた。同時に、同じ組織・細胞サンプルからトランスクリプトーム解析試料抽出法を検討し解析結果を比較検討した。全解析データから特異的な活性化シグナルネットワークの抽出を行ったところ、血管新成・血管透過性・細胞周期・接着因子関連分子群の関与するキャスケードの上昇、及び特異的核内レセプター群、転写因子群とそれらの下流分子群の活性化が認められた。本研究における検討によって、高感度な脳腫瘍のProteomic Differential Display法、及びその異常活性化シグナルの抽出方法が確立され、その有用性が証明された。
|
Research Products
(8 results)