2005 Fiscal Year Annual Research Report
クロモキネシンKidのM期キナーゼ群による制御機構とM期における新規機能の解析
Project/Area Number |
16026208
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大杉 美穂 東京大学, 医科学研究所, 助手 (00332586)
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Keywords | 細胞生物学 / 分裂期(M期) / リン酸化 / クロモキネシン / 染色体分配 / 分裂期キナーゼ / KID |
Research Abstract |
クロモキネシンKidはM期(分裂期)染色体を紡錘体微小管に沿って運搬し、中期板へ整列させる働きを担うモーター分子である。本研究は、Kidの発現を欠失した哺乳類細胞を用い、Kidの分裂期における新規機能を明らかにするとともに、KidがCdc2キナーゼに加え他のM期キナーゼにもリン酸化される点に着目し、M期進行に伴うKidの複数の機能や局在の制御機構の解明を目的としている。我々は前年度までにRNAiを用いた発現抑制実験の結果から、Kidが紡錘体形成や分裂後期の染色体分配にも寄与していることを示してきた。 本年度は作成したKid欠損マウスの解析を開始した。Kid+/-同士の掛け合わせから、Kid+/+、+/-、-/-マウスは約2:4:1の割合で生まれた。胎生期を遡って解析した結果、Kid-/-胚は発生初期の分裂異常により約半数が死亡していた。しかし予想に反し、生まれたKid-/-マウスは外見上健康に生育し生殖能力もあった。従ってKidは、マウス初期胚の分裂の正常な進行を保証する役割を担っていると考えられた。今後の解析により、卵割と体細胞分裂、減数分裂との相違の解明への寄与が期待できる。更に、Kidリン酸化キナーゼの候補であるM期キナーゼの解析を行った。現在のところKidリン酸化キナーゼの同定には至っていないが、いくつかのM期キナーゼについて新規基質分子や結合分子の同定に成功し、リン酸化による分裂期制御機構の解明に寄与する知見を得た。特にLATS2キナーゼに関しては結合分子としてLIMタンパク質であるAjubaを同定し、両者の複合体が分裂期中心体の成熟と紡錘体形成に関わることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)