2005 Fiscal Year Annual Research Report
カルパインp94の新規バリアントによる細胞周期制御
Project/Area Number |
16026209
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
反町 洋之 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 副参事研究員 (10211327)
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Keywords | カルパイン / シグナル伝達 / 酵素 / タンパク質 / プロテオリシス / 筋ジストロフィー / コネクチン / スプライスバリアント |
Research Abstract |
カルパインは細胞質内で基質を直接限定切断することにより、機能・構造を変換するモジュレータ・プロテアーゼである。細胞周期では、p35 CDK5 activatorのp25へのプロセシングへのカルパインの関与や、カルパインnCL-4の発現レベルと癌化との関連などが報告されている。我々はカルパイン様プロテアーゼによってcyclin Aが切断を受けて安定化することを見出し、この本体を追求した。その結果、骨格筋特異的カルパインp94(カルパイン3)の筋特異的プロモーターの上流に、組織普遍的発現を示す新規プロモーターを見出し、p94の新規バリアントの存在を発見した。また、興味深いことに不活性型p94(p94:C129S)ノックインマウスでは、LPSの刺激による免疫反応に異常が見出され、p94の新規バリアントが血球系の分化にも影響を与えている可能性が示唆された。そこで本研究では、この新規分子種が細胞周期制御にどう関与しているかを解析した。p94は骨格筋特異的カルパインとして我々が1989年に発見したものであり、その遺伝子変異により筋ジストロフィーを発症する。本年度は、p94の骨格筋細胞分化に与える影響について詳細に解析した。分化過程でのp94の発現を解析した結果、様々なスプライスバリアントの発現の増減が観察された。また、全長のp94の筋細胞内での局在が、分化と共にM線からN2Aを経てZ線に変化することも判明した。さらに、p94の特異領域の一つを欠いたバリアントを強発現するトランスジェニックマウスでは筋成熟が抑制されてしまうことを考え合わせると、p94の適切なバリアントが適切な時期に発現することが筋細胞分化にとって重要であることが明らかとなった。
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