2004 Fiscal Year Annual Research Report
ATMファミリータンパク質によるテロメア制御機構の解明
Project/Area Number |
16026216
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加納 純子 京都大学, 生命科学研究科, 助手 (10323809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 冬木 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (30184493)
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Keywords | 遺伝子 / ゲノム / 放射線 / テロメア |
Research Abstract |
真核生物の染色体末端に存在する構造体であるテロメアは、二重鎖DNA切断部位として認識されることなく、安定に維持される。これにはKuタンパク質などの関与が示されているが、DNA損傷シグナルとテロメア維持との関係については不明な点が多く残されている。そこで、我々は真核生物において広く保存されているTel2タンパク質について、分裂酵母において解析した。分裂酵母細胞において、人工的にtel2遺伝子の発現を低下させると、HU(ヒドロキシウレア)やUV(紫外線)に対して強い感受性を示した。この感受性は、Δcds1と組み合わせてもあまり変化しなかったが、Δchk1と組み合わせることにより相乗的な効果が見られ、その二重変異株はHU存在下においてcut表現型(細胞周期チェックポイントがほとんど活性化されていない状態)を高頻度に示した。また、tel2低発現株において、DNA複製チェックポイントタンパク質であるCds1の活性化に異常が生じていたが、DNA損傷チェックポイントタンパク質であるChk1の活性化は正常であった。さらに、HU存在下において、Cds1の活性化因子であるMrc1のタンパク質発現誘導およびリン酸化に異常が生じていた。また、HU非存在下においても、野生株ではほとんど見られないDNA修復タンパク質Rad22のfociが細胞内に高頻度に見られた。以上のことから、Tel2は主にDNA複製チェックポイント経路においてMrc1の上流で機能することが示唆された。Mrc1はDNA複製因子と非常に近い位置で機能していると考えられているので、現在Tel2が具体的にDNA複製因子と相互作用して機能しているのかなどについて調べている。また、他の生物ではTel2ファミリータンパク質がテロメア維持に関与していることから、分裂酵母Tel2もテロメアにおいて何らかの機能を果たしていないかどうか調べている。
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