2004 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア蛋白分解制御による細胞生死調節機構の解析
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16026222
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
柳 茂 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (60252003)
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Keywords | ミトコンドリア / ユビキチンリガーゼ |
Research Abstract |
今回、ミトコンドリア外膜に特異的に発現する新規ミトコンドリアユビキチンリガーゼMITOLを同定した。MITOLは細胞膜を4回貫通する領域を持ち、N末端にPHDモチーフを持つ新しいタイプのユビキチンリガーゼであった。これまでミトコンドリアに特異的なユビキチンリガーゼは報告されておらず、MITOLは世界で初めての報告である。MITOLのmRNAおよび蛋白質はすべての人組織に広範に発現していた。酵素学的な特徴として自己ユビキチン化による急速な分解活性をもつことが観察された。一方、ユビキチンリガーゼ活性を消失させた変異体は自己ユビキチン化が起こらず、その結果、分解されずに変性蛋白質としてミトコンドリア内に集積し、ミトコンドリアの凝集を引き起こした。さらにこの変異体の蓄積によりチトクロームCの漏出やミトコンドリアの崩壊が観察された。おそらくMITOL自身が変性しやすい特徴をもつことより、自己ユビキチン化による消去活性が必要になるものと推測された。またMITOLの変異体を過剰発現させた細胞およびsiRNAによるMITOLの欠損細胞ではミトコンドリアの形態異常、すなわちミトコンドリアの断片化を示した。これはMITOLがDrp1やhFis1などの分裂因子と結合し、ユビキチン化を誘導する活性が障害された結果、分裂因子が過剰に活性化したためであると推測された。さらに、MITOLがミトコンドリアの変性蛋白質をユビキチン化して消去する可能性が示唆された。すなわちミトコンドリア蛋白質の品質管理に関与していることが示された。以上の結果より、MITOLはミトコンドリアダイナミクスとミトコンドリアの品質管理に関与する新しいユビキチンリガーゼであることが示された。
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