2004 Fiscal Year Annual Research Report
増殖分化制御におけるプロテアソーム蛋白質分解系とMAPキナーゼ経路との機能連関
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16026230
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
北村 憲司 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 助手 (40214811)
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Keywords | 蛋白質分解 / ユビキチン・プロテアソーム / 発生・分化 / 細胞周期 / 減数分裂 / MAPキナーゼ / サイクリン依存性キナーゼ / 分子生物学 |
Research Abstract |
分裂酵母のSte9蛋白質(Fizzy/Cdh1ホモログ)は、Anaphase-promoting complex/サイクロソーム(APC/C)のG1期での活性化に必要である。Ste9が機能しないと細胞周期停止が異常になり、細胞分化(接合・減数分裂・胞子形成)できないが、この時Ras-MAPキナーゼ経路が活性化すると一倍体細胞でも減数分裂を開始してしまい、結果として致死的な細胞分化が起こった。この異常な分化において細胞周期制御がどのように変化しているかを調べるため、まず本実験に適した新たな同調減数分裂系の確立を試みた。分裂酵母ではRas-MAPキナーゼ経路は接合フェロモンにより活性化されるため、そのシグナル伝達経路を操作して、減数分裂が外来性に添加した接合フェロモンに依存して起こり、細胞分化の開始と進行を人為的に調節できる分裂酵母細胞株を樹立した。この株ではRas-MAPキナーゼ経路を活性化すれば倍数性を無視して分化が起こる。興味深い事に、一倍体細胞で減数分裂が起こるには接合フェロモンシグナルが活性化するだけでは不十分で、哺乳類の癌化細胞で見られる活性型変異Ras蛋白質が存在する事が不可欠だった。Ras-MAPキナーゼの過剰活性化により、その下流のイベントが構成的に起こる必要があるか、あるいは正常細胞とは異なるエフェクターを活性化している可能性が考えられる。 Ste9はAPC/Cによる細胞周期制御因子のユビキチン-プロテアソーム依存的分解を誘導するため、既知の基質であるサイクリン(細胞周期エンジンCDKの調節サブユニット)について調べたところ、APC/Cによる基質認識に関わるDestruction boxを欠くM期サイクリン発現細胞は生育自体が異常になったが、同様の変異を有するS期サイクリンによりste9変異と類似の異常が、その効果は弱いものの模倣できる事がわかった。
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