2004 Fiscal Year Annual Research Report
増殖刺激によるサイクリンD1キナーゼ活性化機構の解明
Project/Area Number |
16026231
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
原 英二 徳島大学, ゲノム機能研究センター, 教授 (80263268)
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Keywords | サイクリンD1 / CDK / 増殖刺激 / 発がん / 癌抑制 / 細胞周期 |
Research Abstract |
増殖刺激により、サイクリンD-CDK4/6複合体が形成されることが細胞増殖に必要である。しかし、サイクリンD-CDK4/6複合体形成の分子メカニズムは不明のままである。本研究では、我々が以前サイクリンD1キナーゼの活性化因子として単離していたp34^<SEI-1>に注目し、増殖シグナルによるサイクリンDキナーゼ活性化の分子メカニズムの解明を目的として研究を行い、以下の研究結果を得た。(i)サイクリンD1キナーゼ活性が最も高くなる時期にp34^<SEI1>と結合する蛋白の同定を試み、脱リン酸化酵素として知られるPP2A(Bサブユニットを含むPP2A)を同定した。PP2Aはp34^<SEI1>を脱リン酸化しないことから、PP2Aはp34^<SEI1>を介してサイクリンD-CDK4複合体や複合体形成を調節する蛋白を脱リン酸化している可能性が考えられた。そこで、PP2A-p34^<SEI1>複合体が脱リン酸化する蛋白を探した結果、AKT2を同定した。(ii)未分化のES細胞はS期とM期が繰り返す特殊な細胞周期を有するため、G1期は存在しない。また、サイクリンDの発現も全く見られず、サイクリンD-CDK4/6複合体も存在しない。しかし、レチノイン酸を投与することにより分化を誘導する過程でサイクリンDの発現とともに、サイクリンD-CDK4/6複合体の形成も見られるようになり、さらにES細胞の細胞周期にG1期が出現する。p34^<SEI1>遺伝子を完全に欠損したES細胞を用いて分化誘導過程におけるサイクリンD-CDK4/6複合体形成を検討した結果、p34^<SEI1>遺伝子を欠損したES細胞ではレチノイン酸を投与してもサイクリンD-CDK4/6複合体形成が起こらないことが分かった。これらのことから、p34^<SEI1>がサイクリンD-CDK4/6複合体形成を通してG1期の出現にも重要な役割を果たしていることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)