2004 Fiscal Year Annual Research Report
PLCタンパク複合体形成による細胞死シグナル誘導のメカニズム
Project/Area Number |
16026235
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西田 基宏 九州大学, 大学院・薬学研究院, 講師 (90342641)
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Keywords | 細胞・組織 / シグナル伝達 / 薬理学 / 生体分子 / ストレス |
Research Abstract |
ホスホリパーゼC(PLC)の活性化は、細胞内Ca^<2+>貯蔵ストアーからのCa^<2+>放出とそれに続く形質膜越えのCa^<2+>流入を引き起こす。我々は以前、非興奮性免疫B細胞を用いて、PLCγ2と受容体活性化Ca^<2+>チャネル(TRPC3)が物理的に結合すること、TRPC3を介したCa2+流入が持続的なPLCγ2活性化および持続的Ca^<2+>濃度上昇(Ca^<2+>オシレーション)を引き起こすことを見出した(EMBO J.,2003)。16年度は、TRPC3に対して選択的阻害作用を示す薬物のスクリーニングを行った。ピラゾール骨格を有する化合物(pyrazole)1uMは、TRPC3活性をほぼ完全に抑制した。免疫B細胞株にpyrazoleを処置すると、受容体刺激によるCa^<2+>オシレーションおよびNFAT活性化が著しく抑制された。さらにTRPC3欠損B細胞では、pyrazole処置と同様にCa^<2+>オシレーションの振幅の減少が確認された(論文投稿中)。以上の結果は、免疫B細胞においてPLC-TRPC3機能的共役がCa^<2+>シグナリングの中枢的役割を果たすことを強く示唆した。 一方、興奮性心筋細胞におけるCa^<2+>シグナリングについても検討を行った。心筋には心筋特異的PLC(PLCε)が発現しており、その活性はG_<12/13>タンパク質により制御されている。活性化型Gα13(CA-Gα13)を心筋細胞に発現させると、細胞の肥大が観察されたのに対し、心筋線維芽細胞にCA-Gα13を発現させたところ、アポトーシス様の形態変化が観察された。我々は心筋細胞において、Gα13がRho・Racを活性化し、心肥大を引き起こすことを明らかにした(J.Biol.Chem.,2005)。一方、心筋線維芽細胞ではGα13の活性化は、Rho・Racシグナル活性化に加え、形質膜越えのCa^<2+>流入も引き起こした(J.Biol.Chem., revised)。驚くべきことに、Gα13活性化による細胞内Ca2+濃度上昇に、PLCの活性化は関与しなかった。
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