2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞周期におけるBRCA1-BARD1ユビキチンリガーゼ活性の調節機構
Project/Area Number |
16026243
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
太田 智彦 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (60233136)
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Keywords | BRCA1 / BARD1 / 家族性乳癌 / ユビキチンリガーゼ / 変異 / RINGフィンガー |
Research Abstract |
研究者らは2001年に家族性乳癌および卵巣癌の癌抑制遺伝子であるBRCA1が、BARD1とともにRINGヘテロダイマー型ユビキチンリガーゼを形成することを発見した。BRCA1は、DNA修復、細胞周期制御、転写制御、アポトーシス制御、中心体複製制御、と多様な生物学的機能を有するが、本研究ではどのようにユビキチンリガーゼ活性がこれらの生物学的機能にかかわっているかを解明するため、活性を制御する上流の機構を解析している。これまでにわかったことは以下の点である。1)内因性のBARD1は細胞周期依存的にリン酸化され、特にM期に強くリン酸化されG1期には脱リン酸化される。また、G1後期からリン酸化が始まると同時に発現が抑制されるが、M期で再び発現は増強する。2)BARD1は細胞周期制御因子であるCDK2-Cyclin A/EおよびCDK1-Cyclin BによってN末端側のS148、S251、S288及びT299がリン酸化される。3)in vivoにてCDK2-Cyclin A/EはBRCA1-BARD1のユビキチンリガーゼ活性を著明に抑制するのに対してCDK1-Cyclin Bは抑制しない。4)CDK2-Cyclin A/EによってBRCA1-BARD1複合体は核内から細胞質へと移行する。5)細胞質へ移行したBRCA1-BARD1は不安定となり、その半減期は著明に減少する。以上の結果はCancer Res.65(1)6-10,2005にて報告した。著者らはBRCA1-BARD1の基質としてNPMがユビキチン化されることも発見しており、CDK2-BRCA1-NPM経路が乳癌抑制機能上、重要な役割を果たしていることが示唆される。現在、DNA傷害時における活性の制御機構をふくめ、この経路が果たす役割をさらに解析中である。
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