2004 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質領野形成過程におけるPax6遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
16027202
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野村 真 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10323007)
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Keywords | 哺乳類 / 大脳皮質 / Pax6 / ephrin-A5 / 遺伝子強制発現 / 機能欠損マウス / 背 / 腹境界 / 神経細胞移動 |
Research Abstract |
ラット胎生11.5-13.5日にかけて、終脳背側(将来の大脳新皮質背側領域)で産生された神経細胞の一群は終脳腹側へと移動し、終脳背/腹の境界移動方向を90度転換する。これらの神経細胞は新皮質発生過程で最も早くに生まれる神経細胞であり、プレプレートと呼ばれる層を形成する。正常胚では終脳腹側にはこれらの神経細胞は侵入しないが、Pax6機能欠損変異ラット胚ではこれらの神経細胞の方向転換がおこらず、終脳腹側へこれらの細胞集団が侵入する。本年度はEphAとephrin-Aサブファミリーの発現解析とPax6遺伝子による発現制御の有無、ephrin Aの強制発現が神経細胞の移動様式に及ぼす影響、ephrin-A機能欠損マウスにおけるこの神経細胞の移動様式の検討を行った。In situ hybridizationによるEphAとephrin-Aサブファミリーの詳細な発現解析を行ったところ、終脳腹側にephrin-A5が、また移動する神経細胞の細胞表面にEphA4が特異的に発現していることが明らかとなった。またPax6変異胚では終脳腹側でのephrin-A5の発現が減少していること、Pax6遺伝子の強制発現によりephrin-A5の発現が誘導されることを見いだした。ephrin-A5が実際にこれらの神経細胞の移動様式を制御しうるかを検討するため、哺乳類全胚培養系を用いて、正常胚とPax6変異胚に対してephrin-A5の強制発現を行った。いずれの場合においても、ephrin-A5を強制発現した場合、背側から移動してくる神経細胞はephrin-A5の強制発現領域には侵入できないことが明らかとなった。さらにephrin-A5の機能欠損マウスでのこれらの神経細胞の移動様式を検討した。その結果、このマウスのホモ接合胚では終脳背側から移動してくる細胞が背/腹境界で方向転換せず、終脳腹側へと侵入するという、Pax6変異胚と同様の表現型を示した。以上の結果より、Pax6遺伝子はephrin-A5の発現を制御することで、終脳背側から腹側へと移動する神経細胞の移動様式を制御していることが明らかとなった(野村ら、投稿準備中)。
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Research Products
(2 results)