2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16027207
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
林 謙介 上智大学, 理工学部, 教授 (50218567)
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Keywords | 神経細胞 / 細胞骨格 / 細胞移動 / 形態形成 |
Research Abstract |
神経の発生初期にニューロンはほとんど例外なく移動する。これまでの我々の研究により、ニューロンの移動能力はニューロンの種類によって固有に備わったものであり、細胞自律的に制御されている可能性が示されている。本研究はニューロンの移動能をコントロールする細胞内メカニズムを明らかにすることを目的とする。 前年度の研究では微小管切断酵素カタニンに着目し、神経細胞においてカタニンの発現を抑制すると神経突起形成に影響が現れる事を報告した。今年度は、細胞の形態や運動性におけるカタニンの役割をさらに明らかにするために、繊維芽細胞においてカタニンノックダウン実験をおこない、詳細な解析を行った。 (1)カタニンの抑制により、微小管の本数の減少・長さの増加を期待し比較したが、特に違いは見られなかった。(2)微小管の遠心分離により、微小管の重合度を比較したが、カタニンの発現を抑制しても重合度に大きな違いはなかった。(3)細胞分裂中の紡錘体においてカタニンの発現が抑えられると、γ-チューブリンの存在領域が狭くなると考えられる。γ-チューブリン免疫染色にて比較したが、これも大きな違いは見られなかった。(4)siRNAを導入した細胞の運動をタイムラプス観察した。コントロールの細胞に比べて、カタニンの発現を抑制した細胞では移動性が抑えられていることが観察された。ただし、これについてはさらに多くの観察が必要である。本研究では、カタニンの抑制による劇的な効果を見ることは出来なかった。従って、極性を持つ神経細胞と、極性を持たない線維芽細胞では、カタニンの役割に違いがあることが明らかになった。
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