2004 Fiscal Year Annual Research Report
位置情報の認識による領域の区画化とその形態形成における役割の解明
Project/Area Number |
16027211
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小嶋 徹也 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80262153)
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Keywords | 肢形成 / モルフォゲン / 発現制御 / ホメオボックス遺伝子 / trachealess / Bar / Distal-less / Pointed |
Research Abstract |
発生過程における基本的なメカニズムの1つは、モルフォゲン・シグナルによる位置特異的な転写因子群の発現の誘導による領域の区画化である。本研究では、ショウジョウバエの成虫肢の発生過程をモデルシステムとして、その具体的なメカニズムや各転写因子の下流についての解明を目指して研究した結果、以下の事を明らかにした。 1)ショウジョウバエの肢の先端部分、先付節と付節領域は、aristaless, clawless, Lim1とBarといったホメオボックス遺伝子間の複雑な相互発現制御作用によって確立・維持されるが、これらの遺伝子はそもそもモルフォゲンシグナルであるEGFリセプター(EGFR)シグナルにより、その大まかな発現領域が決定されている。Barの発現制御領域の解析から、EGFRシグナルの下流転写因子であるPntが、やはり肢でのBarの発現に必須なホメオボックス遺伝子Distal-less依存的にBarの発現制御領域中の特異的な配列に結合できるようになり、このことが、Barのこの発現制御領域が肢原基で特異的に活性化されることに重要である事を見出した。 2)マイクロアレイ解析から、胚期の気管形成を支配するbHLH-PASタンパク質をコードするtrachealessが蛹期の肢原基で、先付節及び第5付節で発現する事を見出した。trachealessの詳細な機能解析から、trachealessは、aristaless/clawless/Lim1とBarの間の相互発現制御機構そのものには必須ではないが、この機構が正確に働くために必要である事が明らかになった。
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Research Products
(2 results)