2004 Fiscal Year Annual Research Report
マウスにおける胚性内胚葉から初期器官形成システムの分子制御に関する研究
Project/Area Number |
16027247
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
金井 正美 杏林大学, 医学部, 助手 (70321883)
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Keywords | 内胚葉 / 肝細胞 / Sox17遺伝子 / バッククロス |
Research Abstract |
1.C57BL/6バックグラウンドSox17ヘテロマウスの作出 私達はSox17遺伝子ノックアウトマウスを作成し、(1)マウスSox17遺伝子が、初期発生過程において、胚性内胚葉、腸原基などの内胚葉由来の細胞に特異的に発現していること、(2)Sox17欠損マウスは、中、外胚葉組織の発生は正常であったが、胚性内胚葉の特異的な欠損により腸原基形成不全を示し、10.5日齢にまでに胎生致死になること、(3)キメラ解析により、Sox17欠損ES細胞は、外、中胚葉組織に高頻度には寄与出来るが、胚性内胚葉への分化が誘導されず、宿主由来のSox17+/+細胞により構成されることなどをすでに明らかにしている。私達の作成したノックアウトマウスは10.5日齢に胎生致死で、ホモembryoを用いた10.5日齢以降の器官形成期の機能解析は不可能である。そこで、遺伝子発現量が野生型より1/2であるSox17^<+/->マウス(129/Sv)の遺伝的背景をC57BL/6(B6)に移したSox17^<+/->(B6)ラインを作製し、バックスロス7代目以降、発生後期から生後3週齢までに、その約90%が致死となり、B6 backgroundにおいてHaploinsufficiencyを示すラインを作出した。 2.Sox17-C57BL/6ヘテロマウスの表現系解析 ヘテロalleleで生後致死が認められるラインの詳細な検討を加えたところ、Sox17^<+/->マウス(B6)は肺・胃・腸管・膵臓といった内胚葉由来臓器では異常は認められなかった。しかし、肝臓においてのみ、胎齢15.5日以降、顕著な辺縁部の変性を伴う肝臓の萎縮が見出された。またSox17^<+/->肝細胞において、細胞増殖は正常であったが、アポトーシスの増加が認められ、更に、アルブミン陽性を呈する成熟肝細胞が減少していることが明らかとなった。Sox17の発現をRT-PCR及び、in situ hybridization法を用いて詳細に解析した結果、Sox17遺伝子は胎齢9.5日の肝芽にて一過性に高い発現を示し、胎齢13日以降においても肝臓で発現が維持されていることが確認された。以上の結果により、Sox17は、初期での内胚葉の分化誘導だけでなく、胎齢15.5日以降の肝細胞の維持、成熟においても重要な役割を担っていることが示唆された。
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Research Products
(3 results)