2004 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ消化管の左右性を制御する遺伝的機構に関する研究
Project/Area Number |
16027249
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
松野 健治 東京理科大学, 基礎工学部, 助教授 (60318227)
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Keywords | 左右軸 / 左右性 / 体軸 / 発生 / ショウジョウバエ / 消化管 / 遺伝的スクリーン / 形態形成 |
Research Abstract |
外部形態が左右相称な動物においても、その内臓器官は、左右非対称性を示すことが多い。脊椎動物の左右性に関する研究から、左右軸の成立機構に関しては、すでに多くの知見が得られている。しかし、先口動物では、脊椎動物とは異なった機構で左右軸が決定されていると考えられており、無脊椎動物で広く一般化可能な左右軸決定機構が存在する可能性がある。そこで、我々は、遺伝学的解析手段が駆使できるショウジョウバエ消化管にみられる、明瞭な左右非対称性に着目した。本研究では、ショウジョウバエを用いた遺伝的スクリーンによって、消化管の左右性に関与する遺伝子を網羅的に同定し、無脊椎動物の左右性を制御する遺伝的経路を理解することを目的とする。 平成13〜16年度の研究で、4,100系統のトランスポゾン挿入突然変異系統について、胚消化管の左右性の異常を指標としてスクリーンを行った。その結果、10%以上の頻度で内臓逆位を示す、突然変異体を10系統同定し、このうち5系統について、左右性の異常に関する責任遺伝子を明らかにすることができた。これらの遺伝子のうち3つは、逆位を示すものの、ホモ接合体が生存・生殖可能であった。現在、各責任遺伝子の機能の解析を進めている。さらに、平成16年度において、突然変異原物質(EMS)を用いて作出した2,000系統の第二染色体(ゲノムの約40%相当に対する飽和突然変異誘発)突然変異体についても、同様のスクリーンを行った。その結果、30%以上の高頻度で内臓逆位を示す突然変異系統を、25系統同定した。これらのなかには、少なくとも2つの相補性グループが含まれていた。現在、責任遺伝子の同定を目的として、各突然変異のマッピングを進めている。
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Research Products
(3 results)