2004 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄神経細胞の多様性と発生分化の、ホヤ-ゼブラフィッシュ間での比較
Project/Area Number |
16027256
|
Research Institution | National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities |
Principal Investigator |
東島 眞一 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 助教授 (80270479)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 康司 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 教授 (80201987)
|
Keywords | ゼブラフィッシュ / ホヤ / トランスジェニック / 神経分化 / 転写因子 / GFP |
Research Abstract |
ゼブラフィッシュとホヤの神経発生機構を、主に転写因子の発現と神経細胞の多様性形成過程に焦点をおいて調べ、それらを比較することにより、神経細胞の多様性形成機構がどのように獲得され、変化してきたかを進化的な側面から考察することを研究の目標としている。 研究が先行するゼブラフィッシュに関しては、具体的には、神経発生期に少数の細胞で発現する転写因子に関して、その陽性細胞がどのような神経細胞へ分化していくかを調べることにより脊髄神経回路の発生機構を調べた。Chx10,Vsx1,BarH1に関して、その陽性細胞でGFPを発現するトランスジェニックフィッシュを作製した。その結果、Chx10,Vsx1陽性細胞は同側下行性の介在神経細胞、BarH1陽性細胞は交叉型介在神経細胞であることが明らかになった。現在、Chx10,Vsx1陽性細胞が遊泳行動の際に回路に興奮性の入力を与える神経細胞であるという仮説を検証するために、これらの細胞からの電気生理学的記録を行っている。 ホヤに関しては、(1)ホヤ幼生の自発的な運動および刺激に対する反応を、高速度カメラ撮影を介した画像解析と、吸引電極を用いた細胞外電気記録とにより詳細に解析した。その結果、ホヤ幼生は16.4±4.3Hzで蛇行運動すること、成長にともなった運動周波数の上昇、推進の効率化が観察されることを示した。(2)筋肉の細胞内電気記録法を確立した。それにより、筋肉細胞は刺激に応じた様々なレベルの活動電位を出す能力がある(all-or-noneな活動電位ではない)ことが示唆された。このことは運動を担う各細胞の活性が微妙に制御されることを示している。この機能は、脊椎動物のように白筋や赤筋といった多様な筋細胞種を持たないホヤ幼生が状況に応じた運動を行う上で重要であると考えられる。(3)ホヤ幼生の運動ユニットの活動制御を担う分子基盤を明らかにするため、様々な電位感受性チャンネルとリガンド活性化型チャンネル転写物の発現を調べている。
|