2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16027257
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
古川 貴久 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 発生生物学部門, 研究部長 (50260609)
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Keywords | rax / HMGB3 / retina / proliferation / c-myc / Xenopus / Optx2 |
Research Abstract |
神経前駆細胞の増殖は、正常な中枢神経系の形成に必須である。我々は、中枢神経系の初期発生における細胞増殖の機構の解析を目的として、眼、前脳の初期発生に必須であり、細胞増殖を制御することが知られている転写因子raxにより誘導される因子を、マクロアレイを用いて単離することを試みた。その結果、High mobility group B3 (Hmgb3)をコードする遺伝子を単離し、アフリカツメガエルの初期胚を用いて解析を行った。Xhmgb3は、ステージ25では中枢神経系に発現し、ステージ40においては、網膜の中で増殖中の網膜幹細胞の存在する部位であるciliary marginal zoneに発現が強く認められた。そこで我々は、Xhmgb3の神経発生における機能を解析をするために強制発現実験を行った。その結果、眼と脳の巨大化が認められた。さらに、細胞増殖に与える影響について強制発現実験により検討すると、眼と脳において、増殖中の前駆細胞の数の上昇が認められた。次に、Xhmgb3の機能欠損実験を行うと、眼と脳が縮小した。このことから、Xhmgb3はアフリカツメガエルにおいて、中枢神経系の増殖において重要な役割をもつことが明らかとなった。さらに、我々は、Xhmgb3が細胞増殖を制御する機構として、Xhmgb3がc-mycの発現を直接調節することを見い出した。転写因子Optx2は、眼の前駆細胞の増殖に関わることが知られている。そこで我々は、Xhmgb3、raxとXOptx2の関係を検討し、raxがXOptx2の発現に必須であること、XOptx2とXhmgb3は主に異なるステージでの発生に必要であることを見い出した。Xhmgb3は、神経管形成後の神経前駆細胞の増殖に必須な因子であると考えられる。
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