2004 Fiscal Year Annual Research Report
ドメーン・ウォールなどに局在した粒子の質量と対称性の破れの研究
Project/Area Number |
16028203
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
坂井 典佑 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (80108448)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 克司 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (60221769)
|
Keywords | ドメーン・ウォール / 超対称性 / ソリトン / 非アーベルゲージ理論 / 余剰次元 / 局在 / モジュライ / 超重力 |
Research Abstract |
本年度は、超対称性を持つ場の理論と超重力理論、さらに弦理論の技術を用いて、ブレーンなどのソリトンを研究し、それらの結果を用いて、超対称性を持つ余剰次元模型の構築を試みた。 さらに、ソリトンが非摂動効果の主要な担い手となっていることに鑑み、ソリトン解の持つモジュライを考察した。これらのモジュライはソリトン上の質量零の粒子を表し、これらのソリトン上の有効場の理論のラグランジアンに登場する場となっている。 非アーベルゲージ理論でのドメーン・ウォール解の構成を行った。この結果、超対称性を半分保存するBPS状態を完全に求めることができた。また、BPS状態のボーテックス(渦糸)を構成することにも成功した。 一方、残った超対称性が破れる模型も考察し、その場合に位相的量子数のおかげで安定となっている解を提案した。さらにそのような解を超重力理論に埋め込むことも成功した。 曲がった空間での余剰次元模型では、二つのブレーンの距離についての安定性が大きな問題である。スカラー場を導入することによって、安定性を与える機構が提案されていた。超対称性を与えた場合に、この機構が成り立ちえるかどうかを検討し、超対称性を保つ形で安定性を与えることができることを示した。 また、余剰次元模型でのひとつの大きな課題はドメーン・ウォールにゲージ場が局在できるかどうか、という問題である。この問題を検討するために、超対称模型を用いてゲージ対称性の破れがドメーン・ウォール上で回復する模型を考察した。しかし、このような模型では、ゲージ場はドメーン・ウォールに局在するが、ドメーン・ウォールの厚さの逆数程度の質量を持つことがわかった。これはドメーン・ウォールの外側における超伝導現象のためであり、一般的現象である。 一方、非可換な時空上の場の量子論は興味深い課題であり、近年、超対称性を持つ非可換時空が研究されている。このような時空でのゲージ理論について、超対称性がどれだけ保たれるかを明確にすることに成功した。
|