2004 Fiscal Year Annual Research Report
B中間子のセミレプトニック崩壊と小林益川行列要素の決定
Project/Area Number |
16028210
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大野木 哲也 京都大学, 基礎物理学研究所, 助教授 (70211802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 省二 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所・数値物理部, 助教授 (90280510)
松古 栄夫 高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 助手 (10373185)
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Keywords | 小林益川行列 / 素粒子論 / 格子QCD / B中間子 / 計算物理 |
Research Abstract |
大野木はJLQCD Collaborationによる動的フェルミオン効果を無視した(クェンチ近似)格子QCD計算によるB中間子セミレプトニック崩壊のデータの解析を行い、小林益川行列要素|Vub|を決定した。特に広島大学大学院生の福永優氏との共同研究で、形状因子の分散不等式に対する新しい方法を提案した。この方法は従来知られていた、分散関係式と演算子積展開を用いた崩壊形状因子に対するBOUNDを改良する方法で、実験からのセミレプトニック崩壊スペクトラムの情報をインプットすることにより、格段にBOUNDを厳しくする方法である。この方法を応用して、格子QCD計算とBファクトリ実験CLEOのデータを組み合わせることにより、小林益川行列要素|Vub|を15%の精度で決定した。また動的フェルミオンの効果の入った格子QCDにおけるカイラル極限の不定性を抑えるためB中間子とD中間子の遷移行列の比を取る方法を提案した。更に、形状因子の準備としてレプトニック崩壊定数についてカイラル極限の不定性が数%の精度に抑えられるという初期的結果を得た。 橋本はJLQCDCD Collaborationとの共同研究で2フレーバーの動的フェルミオン効果の入った格子QCD計算を用いてK中間子およびπ中間子のセミレプトニック崩壊形状因子の計算を行い、初期的結果を得た。この問題に関連するテーマとして、格子QCDによるB中間子セミレプトニック崩壊の形状因子から分散式を用いて、小林益川行列要素|Vub|を決定する新しい方法を提唱した。 松古はセミレプトニック計算の応用に向けて、非等方格子のゲージ作用のパラメータをいくつかの格子間隔で精密決定を行うという初期的結果を得た。 またその他に我々の研究を含めて、大野木、橋本は格子上の重いクォークのさまざまな定式化と物理への応用についての研究をまとめた総括論文を執筆した。
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Research Products
(2 results)