2004 Fiscal Year Annual Research Report
Belle測定器の高抵抗板検出器をスーパーKEKBで使うためのガスの研究
Project/Area Number |
16028216
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
寺本 吉輝 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50163928)
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Keywords | 高抵抗板検出器 / スーパーKEKB |
Research Abstract |
現在Belle測定器でμ粒子とK^0_L粒子の検出のために測定器の最外部に高抵抗板検出器(レジスティブ・プレート・チェンバー)が配備されているが,この検出器はバックグラウンドに弱く,将来スーパーKEKBが動き出したときには,特にバックグラウンドの高いエンドキャップ部分(10Hz/cm^2程度と予想)では検出効率の低下が大きく,今のままでは使えない.スーパーKEKBになっても現在の高抵抗板検出器が使えるようにバックグラウンドに強い混合ガスが存在しないかということで,いろいろなガスをテストした. まず^<60>Coのチェッキング線源を6個購入して高いバックグラウンドをテストチェンバーに一様に作れるようにした.このときの宇宙線μ粒子を3層のシンチレーション検出器でトリガーし,このμ粒子の検出効率をいろいろなバックグラウンドのレベルで測定できる装置を作った. Belle測定器で使っているガスはアルゴン30%,ブタン8%,テトラフルオロエタン62%であるが,我々はこの3種類以外にヘリウム,6フッ化硫黄を混ぜて,5種類の混合ガスを試した.高抵抗板検出器がバックグラウンドに弱い理由は,ここの放電に対してその放電が起こった近傍の電場が低下して感度がなくなるためである.この機能自体は連続放電を防ぐために必要であるが,高いレートになってくるとこのことが検出効率を下げる原因になる.そこで,この放電を小さく抑える効果があると思われるヘリウムや6フッ化硫黄を混ぜてみた.特に6フッ化硫黄は放電を強く抑制する効果があるが混合比率に敏感なためマスフローメータを購入して,自動式精密膜流重計でフローメータを補正して使った.アルゴンはあまり多いと放電が大きくなりすぎるが,少ないと動作電圧が上がりチェンバーの寿命を短くする危険がある.ブタンも多すぎると可燃性ガスになり実用上問題となるが,少なすぎると電極にダメージを与えやすいと考えられる.ヘリウムは原子量が小さく放電のもととなるイオンが少ないので信号の大きさを抑制できると考えられる. 現在までのテストではスーパーKEKBの条件で使えるガスは見つかっていないが,例えばアルゴン28%,イソブタン16%,テトラフルオロエタン21%,6フッ化硫黄6%,ヘリウム29%の混合ガスは,現在Belleで使用しているガスより同じバックグラウンドで検出効率の低下が半分になる.
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Research Products
(1 results)