2004 Fiscal Year Annual Research Report
常時地球自由振動データ解析に基づくmHz帯重力波の探索の新展開
Project/Area Number |
16029203
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
綿田 辰吾 東京大学, 地震研究所, 助手 (30301112)
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Keywords | レーサ歪計 / 表面波 / 巨大地震 / 歪地震動 / 理論歪地動 |
Research Abstract |
将来の重力波探査計画の候補地として神岡鉱山地下が検討されている。神岡レーザーひずみ計は温度降雨などによる環境の変化に起因するノイズを避けるため、地表から1キロの深さにある観測坑道に設置されている。ひずみ計は南北と東西2方向に100メートル離れた岩盤上の2地点の距離の変化を検出し、計測器の分解能は1E-13に達する。地球潮汐から微小地震まで計測するDC-20Hzの超広帯域と超広ダイナミックレンジがこの装置の特徴である。 2003年後半に発生した二つの巨大地震、2003年9月25(世界時)十勝沖地震M8.3と2003年8月21日ニュージーランド南方沖地震M7.5に伴う良好な長周期表面波と自由振動記録が得られた。気圧変化に不感である面積歪に換算したNS-EW成分では、十勝沖地震では周期約900秒の0T6まで明瞭に振幅スペクトルとして計測されている。1-4mHz表面波の帯域では、球対称地球で計算すると観測された歪波形と大きく異なる。観測された歪波形は地球を周回するラブ波の振幅が、球対称地球から予測される歪記録に比べ約5倍大きく、また観測されたレイリー波R2,R3に比ベラブ波G2,G3は約4倍の振幅を持つが、球対称地球では逆にラブ波はレイリー波の約半分の大きさとなる。今回新たに開発した非球対称地球モデル(自転、回転楕円形状、3次元大規模地球内部不均質構造)に対する理論合成歪計記録では、このラブ波の振幅異常をほぼ説明できる。ニュージーランド南方沖地震では1-4mHz帯域でラブ波が卓越した波形が観測された。球対称地球に対する理論合成歪記録ではG2の到達時刻が観測された時刻より約20秒遅れるが、非球対称地球に対する合成歪記録では到達時刻の差はほぼ解消される。レーザひずみ計が長周期地震計として機能することが確認された。
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