2004 Fiscal Year Annual Research Report
化学イオン化質量分析法を用いたエアロゾル前駆気体濃度測定装置の開発
Project/Area Number |
16030201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
廣川 淳 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (20262115)
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Keywords | 二次エアロゾル / エアロゾル前駆気体 / アンモニア / 塩化水素 / 化学イオン化 / 質量分析計 |
Research Abstract |
無機エアロゾル二次生成過程の重要な前駆気体であるアンモニア及び塩化水素の大気中濃度を高感度かつ高速に測定するため、化学イオン化質量分析法を用いた装置の開発を計画した。アンモニアは、プロトン親和力が高いことから、プロトン付加したエタノールクラスターイオンからの発熱的なプロトン移動反応を利用することにより、効率的かつ選択的に化学イオン化できることがわかった。そして、プロトン移動反応の結果生成するアンモニアとエタノールの混合クラスターイオンの信号強度を質量分析計で測定することにより、大気中のアンモニア濃度を高感度に計測できることがわかった。イオン化部の最適化、生成イオンの衝突解離による質量スペクトルの単純化等を行い、既知濃度の標準気体を用いた実験を通して、アンモニアの検出感度は約260cps(counts per second)/ppbvと見積もられた。また、アンモニアを含まない清浄空気を測定すると、反応管内壁に吸着したアンモニアの再脱着に起因するバックグラウンドの増加が見られたが、これは、酸性気体を反応管に添加して、吸着したアンモニアを揮発性の低いアンモニウム塩に変換することにより低減化することができた。一方、塩化水素は、ハロゲン負イオンに対する親和力が高いことから、ハロゲン負イオン移動反応を用いた化学イオン化法が適していると予想され、実際にSO_2Cl^-負イオンからの塩化物イオン移動反応を用いたところ、塩化水素との反応により生成したClHCl^-イオンを検出することにより選択的な濃度測定が可能であることが見出された。
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