2004 Fiscal Year Annual Research Report
多環芳香族炭化水素類及び微量金属の同時分析によるエアロゾルの輸送過程と発生源推定
Project/Area Number |
16030209
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
奥田 知明 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (30348809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 茂 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10137987)
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Keywords | 環境質定量化・予測 / 環境分析 / 大気汚染防止・浄化 / 地球化学 / 有害化学物質 / エアロゾル / 多環芳香族炭化水素類 / 微量金属 |
Research Abstract |
2003年9月2日〜2004年7月3日の期間の中国北京市におけるPM10(粒径10μm以下の大気粉塵)質量濃度平均値は145.3±91.0μg/m^3(n=289)であり、これは横浜市に比べて約5倍、アテネの約2倍、さらにカルガリーの約6倍であった。北京市において暖房が許可されている期間(11月15日〜翌年3月15日)の大気粉塵中全PAHs濃度(268±223ng/m^3,n=17)は、非暖房期(40±31ng/m^3,n=27)と比較して6.6倍と顕著に高くなった。個々のPAHsに関しては、4-5環のPAHsは暖房期の濃度が非暖房期の5.4-11.9倍高くなるが、6-7環のPAHsは暖房期の濃度が非暖房期の1.3-3.9倍となった。石炭燃焼によって放出されるPAHsは4-5環が多いことから、この傾向は北京市における暖房期の石炭使用量の増加を反映していると考えられる。また、中国北京市における大気粉塵中微量金属15種(Al, Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, As, Se, Cd, Sb, Pb)の合計濃度は15.1士10.2μg/m^3(n=287)となった。これは川崎市の約8倍、マドリードの約4.5倍にあたる。以上のように中国北京市においては、PM10質量濃度及び大気粉塵中微量化学成分濃度ともに世界各都市と比較して2〜8倍程度高濃度となっており、大気粉塵による汚染が非常に深刻になっている事がわかった。 次に、大気粉塵中のPAHsと微量金属の測定結果を基にして、CMB (Chemical Mass Balance)法を用いて中国北京市における大気粉塵の発生源の推定を行った。その結果中国北京市の大気粉塵に対する各発生源からの寄与は、石炭燃焼が37%、自動車排気が30%となり、二次粒子を合わせるとこれらの人為的発生源が全体の約8割の寄与を占めることがわかった。
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