2004 Fiscal Year Annual Research Report
エアロゾルの降水による沈着の促進と山岳部と都市部における乾性沈着量の比較
Project/Area Number |
16030211
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
井川 学 神奈川大学, 工学部, 教授 (70120962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大河内 博 東京都立科学技術大学, 工学部, 助教授 (00241117)
松本 潔 神奈川大学, 工学部, 特別助手 (60373049)
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Keywords | 霧 / 雨 / 林内雨 / 樹幹流 / 硝酸 / 乾性沈着 / 丹沢大山 / 横浜 |
Research Abstract |
今年度の研究結果をまとめると次のようである。大山と横浜における大気中の主要な酸性ガス成分である硝酸はいずれの地点も2000年以降増加傾向にあり、窒素酸化物、非メタン炭化水素や粒子状物質濃度で見られる減少傾向とは異なった傾向を示し、光化学オキシダント濃度の増大が原因として考えられる。大山では霧の発生頻度は高いが、680m地点の霧についての経年変化では、今年も霧水量の減少とこれに伴う霧水内成分濃度の増加が見られているが、これは麓のエアロゾル濃度の減少のために霧が発生しにくくなっていることによっている。大山の植生に及ぼす汚染物質の沈着の影響を見ると、標高が高いほど大きくなる傾向が見られた。その原因として霧の沈着が考えられたため、パッシブ霧採取器により標高の異なる地点で霧を採取して比較したところ、霧組成の標高依存性は小さいがパッシブ霧採取器による採取量は標高とともに急激に増大した。その原因となる霧の発生頻度と風速は、いずれも標高に対して直線的な増加であった。林内雨の降水量、汚染物質沈着量も同様な標高依存性を示すのは霧水の影響を強く受けたものと予想される。さらに今年度は、スギ樹冠の下に降雨強度計を、パッシブ霧採取器に採取器内水位の測定器を設置したので、林内雨と林外雨の降雨強度の関係、霧発生時の林内雨の発生状況についても詳細なデータが得られているのでこれらの解析を進めている。また、光化学オキシダントの発生に重要な影響を与える大気汚染物質のVOCについても検討した。VOCが大気から雨にヘンリー則以上に高分配することをこれまで既に明らかにしているが、雨に溶け込むフミン酸により液性が変わることが一因となっており、この雨による洗浄はVOCの大気からの除去において重要なプロセスとなっていることを明らかにした。さらに横浜において、霧や露についても検討を進めている。
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Research Products
(2 results)