2004 Fiscal Year Annual Research Report
湿性沈着量の標高依存性が化学成分間で異なる原因の解明
Project/Area Number |
16030213
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Research Institution | Ishikawa Agricultural College |
Principal Investigator |
皆巳 幸也 石川県農業短期大学, 生物生産学科, 講師 (90290080)
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Keywords | 湿性沈着 / 標高 / 越境大気汚染 / 東アジア |
Research Abstract |
前年度までの当領域での公募研究に引き続いて、日本海に面した能登半島の山岳斜面で標高が異なる4箇所の観測点における降水を「ひと雨」ごとに採取し、溶存成分の濃度を測定した。また、山頂では新たに初期降水を時間的に分取し、同様の分析を行う作業も開始した。これにより、黄砂や大気汚染物質など大陸域から日本列島や太平洋上へ長距離輸送される物質をはじめとする大気微量成分の湿性沈着量を標高と関連づけて評価し、この依存性が成分によって異なる原因を明らかにするためのデータを蓄積した。季節や降水の形態に関わらず全ての事例をまとめた平均的な結果としては、降水量は山麓に比べて山頂で多く、各成分の濃度は山頂に比べて山麓で高かった。また、これらの量を山麓と山頂とでの比で表したとき、その値は降水量およびNO_3^-,非海塩SO_4^<2->ではバラツキが小さかった。従って、これら項目に関しては、総観規模での降水システムその他の条件に拘らず、ある一定の値をもって標高依存性が表現できることが明らかとなり、当領域としての作業である沈着量モデルの作成にも資することとなった。その他の成分については、事例によって比が大きく変動したが、初期降水の形態(層状性の雲による降水か対流性の雲によるものか)や、台風・寒冷前線の通過など降水の原因によって分類できる様相が見られており、より詳細に解析を行う予定である。初期降水を分取した結果については、分画の間での濃度変動に関して似た振る舞いをする成分がグループ分けできることが示唆されており、やはり今後に向けて詳細な解析を行う。
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Research Products
(1 results)