2004 Fiscal Year Annual Research Report
半導体電子スピン系量子コンピュータの要素技術の開発
Project/Area Number |
16031202
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
磯谷 順一 筑波大学, 大学院・図書館情報メディア研究科, 教授 (60011756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅田 享英 筑波大学, 大学院・図書館情報メディア研究科, 助教授 (10361354)
水落 憲和 筑波大学, 大学院・図書館情報メディア研究科, 講師 (00323311)
大島 武 日本原子力研究所, 材料開発部, 副主任研究員 (50354949)
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Keywords | 量子コンピュータ / 半導体物性 / 電子スピン / 炭化ケイ素 / ダイヤモンド / パルス電子スピン共鳴 / スピン緩和 |
Research Abstract |
電子スピンを量子ビットとして用いる量子コンピュータの実現において最も重要な課題は、多くのステップの演算をする間、重ね合わせの状態を持続することができるかということである。我々は、(1)半導体中のドナーのスピン緩和の機構を明らかにし、半導体の種類やドナーとなる不純物の種類を変えるなど、材料面の工夫により、コヒーレンス持続時間の長い系を探索し提案することと、(2)電場印加ESRスペクトルの超微細相互作用の変化を検証するとともに、単一スピンの読み出しをめざして、電流検出電子スピン共鳴法(ESRを電流の変化として検出)の高感度化を図ることとを研究目的においている。 炭化ケイ素(SiC)中の窒素ドナーについて、パルスENDORにより電子状態を明らかにするとともに、パルスESR法によって測定する位相記憶時間(T_M)、スピン格子緩和時間のポリタイプ依存性、結晶格子中のサイト依存、温度依存性、ドナー濃度依存性などから、位相記憶時間を決める機構を明らかにした。電子スピンを用いる固体素子量子コンピュータで必要とされる〜100μsを超えるT_Mを得るには、バレー・軌道相互作用による励起状態のOrbach過程によるスピン格子緩和が凍結することが必要で、シリコン中の燐ドナーでは〜8K以下の低温が必要であるが、SiC中の窒素ドナーでは〜60Kで達成(核スピンをもつ同位体^<29>Si、^<13>Cを除くことができれば、35KでT_Mが〜6ms)できる。新しいドナーの探索として、ダイヤモンド中の燐、4H-SiC中の燐、3C-SiC中の燐のESRスペクトルを初めて観測し、その構造、電子状態を詳細に決定した。
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