2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16031203
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
舛本 泰章 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (60111580)
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Keywords | スピンエレクトロニクス / 量子ドット / 電子スピン / スピン偏極 / 円偏光度 / スピン緩和 / InP / CeTe |
Research Abstract |
<InP量子ドットのサブミリ秒スピン偏極> 量子情報処理には、光との整合性が良いIII-V族半導体量子ドット中の長いスピン緩和時間を持つ電子スピンが最も有用であろう。本年度、光生成電子のように発光寿命により時間の制約を受けない、電子を1個ドープされたInP量子ドットにおいて、電子のスピン偏極がサブミリ秒の寿命をもつことを見いだした。電子を1個ドープされた自己形成InP量子ドットを円偏光ピコ秒レーザーパルスを用いて準共鳴励起し、ファラディー配置で縦磁場を加え、偏光フォトルミネッセンスおよびその時間分解を系統的に研究した。0.1Tの縦磁場下で、InP量子ドットの発光帯を円偏光で準共鳴励起すると、励起光エネルギーからストークスシフトが大きいエネルギー領域では、負の円偏光度をもつ発光となる。発光ポンプ・プローブ法を用いた時間分解測定により、負の円偏光度は、数百マイクロ秒の緩和時間で緩和していくことが明らかになった。これは、III-V族半導体で弱磁場下で観測された時間としては最長である。負の円偏光度は温度や磁場に依存し、磁場の増加、温度の上昇とともに緩和時間が短くなっていくのが明らかとなった。 <CdTe量子ドットにおけるスピン緩和> CdTe量子ドットの電子のスピン緩和を偏光フォトルミネッセンスとその時間分解を通じて調べ、磁場の強度とともにスピン緩和速度が遅くなる事を示した。電子スピンの緩和機構として、電子スピン・核スピン間の超微細相互作用と核スピンが形成する核磁場のゆらぎを考えると、磁場の増加と共に核磁場のゆらぎの寄与は小さくなるので、電子スピンの緩和時間は長くなる。局在電子のスピン緩和に用いられたこの考えを用いると、フォトルミネッセンスの円偏光度から求めたスピン緩和速度も偏光フォトルミネッセンスの時間依存性から求めたスピン緩和速度も同じ縦磁場依存性で説明されることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)