2004 Fiscal Year Annual Research Report
半導体ナノスピントロニクス材料の非局所理論に基づくデザイン
Project/Area Number |
16031210
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
赤井 久純 大阪大学, 理学研究科, 教授 (70124873)
|
Keywords | 計算機マテリアルデザイン / スピントロニクス / 希薄磁性半導体 / フルポテンシャルKKR法 / 輸送現象 / 久保・グリーンウッド公式 / グリーン関数法 / 電気伝導度 |
Research Abstract |
1.ナノスピントロニクス材料の開発のために必要なフルポテンシャルKKRコードの改良整備を研究協力者の小倉昌子と共に行い、非局所理論を構築するために必要となる十分な精度を確保することができるようになった。最適化有効ポテンシャル法を用いたRPAレベルでの非局所理論を実用化するためには、非球対称ポテンシャルによる軌道の射影を行うため非球対称動径関数を精度良く求める必要がある。これは従来のFLAPW法等の変分法によっては満たされない。フルポテンシャルKKR法においてはボルン列を無限次まで計算することによって、この条件を満たすようにできる。単純なボルン列の足し上げは多くの場合発散を伴うが、最規格化を行うことによって正しい結果を得ることが可能となった。それらの改良によって、通常のマフィンティンKKR法と同程度の計算時間によって、フルポテンシャルKKR法を実行が可能となった。 2.久保・グリーンウッド公式による輸送現象計算のための計算機コードを研究協力者の米原仁と共に開発し、それを従来のKKR法のパッケージに組み込んだ。これらのコードを用いてナノスピントロニクス材料である、(Ga,Mn)As、(Ga,Mn)In、(Zn,Cr)O、(Zn,Cr)Teなどの電気伝導度の第一原理計算を行った。その結果、III-V族をベースにした希薄磁性半導体は磁性イオンの増加とともに単調に電気伝導度が上昇するが、II-VI族をベースにしたものは電気伝導度の極小を示したあとに、電気伝導度が上昇することが分かった。実際の希薄磁性半導体ではアンダーソン局在による移動度端があるために、久保・グリーンウッド公式による電気伝導度とは必ずしも直接的な比較はできない。しかし、電気伝導度の絶対値の大きさは局在の程度の予想に用いることができるとともに、高不純物濃度の領域では定量的な議論も可能であり、今後のナノスピントロニクス材料開発のための大きな指針を与えるものである。
|