2004 Fiscal Year Annual Research Report
イオン注入法を利用したナノ構造スピンデバイスに関する研究
Project/Area Number |
16031213
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
堀越 佳治 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (60287985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大泊 巌 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30063720)
品田 賢宏 早稲田大学, 生命医療工学研究所, 客員講師(専任扱い) (30329099)
小野満 恒二 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (30350466)
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Keywords | スピンFET / スピントロニクス / GaMnAs / MnAs / GMR / 磁化率 |
Research Abstract |
【はじめに】 現在、スピントランジスタ実現のため、磁性イオン注入による磁性原子クラスター配列構造と、希薄磁性半導体のハイブリッド構造を検討している。磁性イオン注入に関しては、Mn系液体金属の合成とイオン源作成に成功している。一方、希薄磁性半導体に関しては、大幅に特性が改善された。 【実験】 試料構造は、Beドーピング層を1ML、スペーサー層を3ML、Mnドーピング層を1ML、スペーサー層を3MLという計8MLを1サイクルとし、それを221サイクル(約500nm)成長させた(構造(a))。比較のために、同数のMnドーピング層を同位置に導入し、Beドーピング層を導入しない構造も作成した(構造(b))。 【結果・考察】 構造(a)ではMnドーピング層のみの試料に比べて、圧倒的に磁気的特性の改善がみられ、75Kにおいてもヒステリシスループを観察できた。それに対して構造(b)では、25Kにおいて既にループは消滅した。このことはBeドーピング層より供給されたホールの波動関数の分布が、Mnドーピング層に重なることで相互作用が発現したためと考えられる。次に、これらのサンプルを、過剰に吸着したAs(As逆格子点)や格子間Mnを減少させるため、低温(250度)でアニールを行った。構造(a)の試料のアニール前のホール濃度は1.01×10^20cm^-3であったが、250度で120分間アニールすることにより、1.31×10^20cm^-3にまで向上することがわかった。この時、250Kにおいてもヒステリシスループがはっきりと観測できた。260Kにおける測定ではヒステリシスは観測されず、常磁性の振る舞いを示していることがわかった。このことから構造(a)の試料のキュリー温度はおよそ250Kであると考えられる。これは今までに報告されているキュリー温度を大幅に上回るものである。
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Research Products
(2 results)