2004 Fiscal Year Annual Research Report
強光子場デザインのためのスペクトラル利得回折格子を用いた広帯域位相共役鏡
Project/Area Number |
16032202
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
尾松 孝茂 千葉大学, 工学部, 助教授 (30241938)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芦原 聡 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10302621)
|
Keywords | レーザー / 非線形光学 / 位相共役波 |
Research Abstract |
本研究の目的は、フォトリフラクティブ結晶に記録されたスペクトラム利得回折格子を利用して、超短パルスレーザーのようなスペクトル帯域が極限的に広い光波のスペクトルを損なうことなく位相共役波を発生させることである。すなわち、超短パルスレーザーの波面、スペクトルを自在に制御できる革新的な広帯域位相共役鏡(スペクトラル位相共役鏡)を開発し、強光子場デザインのための革新的な光学技術、フェムト秒位相共役光学の確立を目指す。 本年度は、近赤外域で大きなフォトリフラクティブ非線形光学効果を示すRhイオンドープBaTiO_3結晶とその外部に配置したループ共振器からなる広帯域位相共役鏡を新規に考案し、チャープパルスに対する特性を実験的に検証した。 ピコ秒パルスレーザーをフォトニック結晶ファイバー(三菱電線工業、PC3-01700、2m)に結合させ、チャープパルス(スペクトル半値幅〜2nm)を作る。このチャープパルスに対して、反射率30%の位相共役波を観測した。また、プローブ光のパルス幅が7psであるのに対して、位相共役波のパルス幅は4psまで圧縮されることを見出した。このパルス圧縮効果は位相共役鏡であるBaTiO_3結晶への入射光の屈折角分散と結晶の屈折率分散から起こるものと予想される。 また、昨年度に引き続き、半導体レーザー側面励起Nd:YVO_4レーザー増幅器の最適化を行い、単純な発振器・増幅器の構成で平均出力10Wを達成した。レーザー増幅器からのエネルギー取り出し効率は23%であった。今後、このシステムに位相共役鏡を組み込み、回折限界ビーム品質を持つ20W級超短パルスレーザーシステムを開発する予定である。
|