2005 Fiscal Year Annual Research Report
高強度レーザーを用いたクラスター分子のクーロン爆発ダイナミックスに関する研究
Project/Area Number |
16032205
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
阪部 周二 京都大学, 化学研究所, 教授 (50153903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋田 昌樹 京都大学, 化学研究所, 助手 (50291034)
清水 政二 京都大学, 化学研究所, 助手 (30378856)
飯田 敏行 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60115988)
佐藤 文信 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40332746)
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Keywords | 高強度レーザー / 短パルスレーザー / クラスター / クーロン爆発 / 高エネルギーイオン |
Research Abstract |
本研究では高強度フェムト秒レーザーとナノ・ミクロ粒子(レーザー波長よりも小さく、外部から電子が供給されない孤立個体系)の相互作用の物理を調べている。このような系として水素や希ガスのクラスターを対象とした。高強度フェムト秒レーザーによりクラスターを瞬時にプラズマ化(イオン化)することができ、クラスターがマイクロプラズマあるいはイオンクラスターとなり、高エネルギーイオンを放射する。レーザークラスター相互作用によるイオン発生過程は発生イオンのエネルギー分布より考察できる。クラスターが球プラズマになると断熱膨張し、発生するイオンは一般にはボルツマン型(エネルギーに対し単調減少)分布を示す。最大のエネルギーは電子温度の10倍程度になる。他方、クラスターから電子が剥離され、瞬時にイオンクラスターが形成されれば、クーロン爆発によりイオンが発生し、有限の最大エネルギーをもったエネルギーの1/2乗型の分布になる。高強度フェムト秒レーザーをアルゴンクラスターに照射することにより発生するアルゴンイオンのエネルギー分布を実験的に調べ、クラスタークーロン爆発モデルにより考察した。最大イオンエネルギーの背圧(クラスターサイズ)依存は球状イオンクラスタークーロン爆発解析モデルにより解釈できる。最大イオンエネルギーのレーザーパルス幅、レーザー強度、背圧のすべての依存性において、クラスターが断熱膨張マイクロ球状プラズマではなくクーロン爆発するイオンクラスターになっていることを示唆した。さらに、エネルギー分布のイオンエネルギー依存の累乗数のレーザー強度依存やダブル遅延パルスを用いた予備照射クラスターのクーロン爆発実験結果から、10^<17>W/cm^2以下のレーザー強度ではクラスターの全体がイオン化されるのではなく、表面だけがイオン化され、イオン化される層の厚さはレーザー強度に依存し、中心部は冷たいまま残ることが初めて明らかとなった。
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Research Products
(4 results)