2004 Fiscal Year Annual Research Report
多価イオンの局所的強クーロン場における分子の動力学
Project/Area Number |
16032211
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
城丸 春夫 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (70196632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 信行 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 助教授 (50361837)
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Keywords | ベンゼン / ジメチルスルフィド / メタノール / 多価イオン / クーロン爆発 / 位置有感計測 / 飛行時間計測 / 光学異性体 |
Research Abstract |
H^+.Ar^<8+>とベンゼン-d6の衝突実験を行った。入射イオン検出をトリガーとした位置有感飛行時間計測を行い、主として、炭素数を(1-5),(2-4),(3-3)に分割する解離イベントについて解析を行った。蒸発したD原子の数(ΔD)を励起エネルギーの指標とすると、高励起状態では対称的解裂が選択的に起こることがわかった。有機分子の高励起状態がこのような液滴的な振る舞いをすることは興味深い。また解離断片の運動エネルギーを解析した結果、多重イオン化の後まずイオン対に分解し、その後Dの蒸発が起こるという過程が否定された。ΔDの入射粒子依存性は、多重イオン化が電子捕獲によって引き起こされるAr^<8+>衝突の場合と比較して、H^+衝突の場合はより多くの振動励起を伴うことを示しており、ΔDを振動励起の指標とすることの妥当性を裏付ける結果となった。また、H^+、Ar^<8+>とメタノールの衝突実験を行い、その解離過程を調べた。 一方、分子をより高価にイオン化した場合、解離断片の飛跡の解析により分子構造の情報が引き出すことができることが今までの研究でわかっている。本研究ではジメチルスルフィドを標的分子とし、クーロン爆発イメージング法によりその2面角の計測と、SS軸周りの回転に起因する光学異性体の識別について検討を行った。入射イオンはAr^<11+>、実験室系の衝突エネルギーは165keVとし、全てのC原子、S原子イオンが同時計測されたイベントについて解析を行った。解離断片の速度ベクトルの相関を解析し、2面角が再現できることと光学異性体が識別できることを示した。超多価イオン衝突実験については、小型の衝突実験装置を製作した。また、不均一磁場を用いた位置有感飛行時間計測システムを新たに製作し、特許を申請した。
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Research Products
(5 results)