2004 Fiscal Year Annual Research Report
高密度レーザー光子場におけるフォノンダイナミクスとその制御
Project/Area Number |
16032218
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
北島 正弘 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料研究所, ディレクター (00343830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石岡 邦江 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料研究所, 主幹研究員 (30343883)
長谷 宗明 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料研究所, 主任研究員 (40354211)
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Keywords | 高密度レーザー場 / フォノン / 電子励起 / 電子・格子相互作用 / 超高速ダイナミクス |
Research Abstract |
本年度の主要な成果は超高速ポンプ-プローブ測定によるフォノン間の量子的相互作用ダイナミクスに関するものである。以下にその概要を述べる: これまで格子ダイナミクスの時間分解測定について多くの研究あるが、高いパワーレーザーパルスを用いた実験は僅かである。そのような高密度光励起は物質の性質をミクロスレベルで制御する手法の開発に役立つと期待されるが、現象の理解は未だである。フォノンを含め大抵の現象は古典的描像で理解されるが、極低温あるいは十分に短い時間スケールでは量子揺らぎに効果が重要となる。そこで、我々は高密度fsレーザーパルスにより、ビスマスのコヒーレントA_<1g>フォノンの実験を行い、コヒーレントフォノンにおける量子効果の可能性について研究した。 用いた試料はビスマス単結晶であり、クライオスタットの取り付けた後、時間分割ポンプ-プローブ反射率測定を行った。パルスレーザーの波長は800nであり時間幅は130nmであった。このとき光励程キャリア密度は最大ポンプパワー〜15mJ/cm^2で6x10^<21>/cm^3であり、この値は価電子の約4%に当たる。 時間分割反射率測定の結果、室温での高密度光パルス励起により大振幅のコヒーレント振動(A_<1g>光学フォノン)の生成が確かめられた。温度を極低温まで(7-10K)下げると、振動の減衰挙動が大きく変わる。すなわち、振動は短い時間(励起パワーに依るが5-10ps)で消滅し、やがてフォノンの振動再び顕れる(復活)。同時にフォノンのスペクトル形も時間とともに大きく変わる。一方、低パワーでは(〜4μJ/cm^2)、フオノンのチャープも消滅・復活も全く顕れない。観察されたコヒーレントフォノンの消滅・復活現象が超短パルスレーザーで生成された結晶格子状態における非古典的特質:量子的特徴に由来するものであり、これは超高速時間分解測定によりはじめて捉えられたものである。
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Research Products
(11 results)