2004 Fiscal Year Annual Research Report
立体化学的にまた電子構造的にフレキシブルなポリピラゾリルボラト金属錯体の構築
Project/Area Number |
16033101
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
大西 正義 長崎大学, 工学部, 教授 (00039695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有川 康弘 長崎大学, 工学部, 助手 (30346936)
河野 博之 工学院大学, 工学部, 助教授 (80214667)
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Keywords | ルテニウム / 末端アルキン / 水和反応 / ポリピラゾリルボラト / ニトロシル / 単結晶X線構造解析 |
Research Abstract |
立体化学的なフレキシビリティと多様性をもつ(ポリピラゾリルボラト)ルテニウム及び希土類錯体に関する研究を展開している。特にルテニウムでは,NO^+-NO^-のレドックス特性に起因する電子構造的なフレキシビリティをもつニトロシル配位子にも注目し,これら配位子のフレキシビリティが,錯形成や生成中間体の反応性等に与える、影響の解明を目的とする。 (1)モノ(アルキニル)のニトロシル(ポリピラゾリルボラト)ルテニウム(II)錯体群を合成し,そのプロトン酸存在下での水和反応性を調べ,β-ケトニル錯体等の単離とキャラクタリゼーションを行なった。そして,π-アルキン中間体への水分子の求核付加を含む反応機構を解明した。また各種アルキンの種類による反応性の差異も明確にした。 (2)ビス(アルキニル)のニトロシル(ポリピラゾリルボラト)ルテニウム(II)錯体群も合成し,その水和反応を試み,多くの興味深い錯体の単離に成功した。特に炭素-炭素カップリングを伴ったメタラシクロペンテノン構造の有機金属錯体種の単離は,多くの研究者の関心を集めている。 (3)(アルキニル)ルテニウム(II)錯体へのH^+/OH_2の水和反応のみでなく,H^+/ホスフィン(PPh_3)系,濃塩酸を用いるH^+/Cl^-系等の付加反応性も検討した。これらの付加反応では,シスまたはトランス付加が選択的に起こり,立体化学的に興味深い反応結果が得られた。現在その反応機構の解明を試みている。 (4)(ポリピラゾリルボラト)サマリウム(III)錯体を系統的に合成し,各種ポリピラゾリルボラト配位子とサマリウムイオンとの親和性をしらべ,各種ポリピラゾリルボラト配位子の特性を明らかにした。
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