2005 Fiscal Year Annual Research Report
「配位基過剰型錯体」の動的機能を用いた集積型金属錯体の構築
Project/Area Number |
16033201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐々木 陽一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30004500)
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Keywords | 酸化還元反応 / レニウム錯体 / バナジウム錯体 / 配位子置換反応 / 混合金属錯体 / EDTA型六座配位子 / 鉄複核錯体 / 非配位官能基 |
Research Abstract |
本研究では、配位部位を残した多座配位子(非配位官能基を持つ多座配位子)をもつ金属錯体を系統的に合成し、これを利用した複合型錯体の合成を目指して研究を行った。本年度は、特に六座配位子、N,N,N',N'-tetrakis(2-pyridylmethyl)ethylenediamine(tpen)を配位子とした錯体系で注目すべき結果を得た。(1)Re(VII)-tpen錯体配位子を持つ混合金属錯体。先に我々は、Re^<VII>(O)_3ユニットにtpenが片側の3座部分で配位し、反対側を非配位のまま残したユニークな錯体の合成を報告したが、この錯体の非配位部分を別の金属イオンに配位させた混合金属錯体をいくつか合成した。一連の第一遷移金属イオンについて反応を試み、Fe(III)およびCu(II)の錯体の合成に成功した。Fe(III)錯体は、オキソイオンと酢酸イオン2ヶで架橋したFe(III)複核錯体骨格の各Fe(III)に上記のRe(VII)錯体を配位した4核錯体であった。一方、Cu(II)錯体は上下に伸びた八面体型の面内にRe(VII)錯体が配位した混合金属複核錯体であった。さらに、このRe(VII)錯体が、ロジウム(II)複核ユニットや、Re(I)(CO)_3ユニットに配位した錯体も得られた。また、合成の過程で珍しい構造のRe7核錯体を単離した。この7核錯体は、金属間結合で生じた複核ユニットにtpenが架橋配位し、さらにこの複核ユニット全体が2座キレート配位子として、3ヶ中央のReに配位した構造を持つ。(2)V-tpen錯体の酸化還元挙動。tpenはV(IV)に四座で配位し,、座が非配位で残る。このV(IV)錯体を還元した時、この非配位基の一方が配位することを見出した。また再酸化でこの配位基は再びはずれる。酸化還元と連動した配位基の脱着を観測した最初の例である。以上、本年度の研究では六座配位子tpenの反応性を制御して合成した「配位基過剰型錯体」を利用した新錯体の合成や、p酸化還元機能について新側面を切り開いた。
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Research Products
(7 results)