2004 Fiscal Year Annual Research Report
含硫黄金属錯体を活用するπ-電子集積化合物の合成とその機能性の解明
Project/Area Number |
16033205
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
佐藤 瀏 岩手大学, 工学部, 教授 (00003872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 智 岩手大学, 工学部, 助教授 (70224102)
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Keywords | π-電子集積体 / 硫黄 / 環状化合物 / 硫黄官能基 / フェロセン / クムレン / ラジカルアニオン / 構造解析 |
Research Abstract |
本研究では硫黄の特性を活用したπ-電子集積化合物合成しその化学的物理的性質を明らかにすることを目的として新規な2,5-ジフェロセニルチオフェンおよびその関連化合物さらには硫黄官能基を有する新規なクムレン化合物の合成とその性質について検討した。 1、2,5-ジフェロセニルチオフェンおよびその関連化合物の合成 フェロセンの複合化による多電子酸化還元システムの構築を試みた。目的化合物は25-ジブロモチオフェンと塩化フェロセニル亜鉛をパラジウム触媒を用いて合成した。得られた2,5-ジフェロセニルチオフェンの電気化学的特性を評価したところラジカルアニオンの形成は確認されたが十分な安定性は得られないことがわかった。引き続いて2,5-ジフェロセニルチオフェンの3,4位にフェニル基を有する化合物の合成を検討した。フェロセニルフェニルアセチレンとジシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリドから得られるジルコナシクロペンタジエンに二塩化硫黄を作用させて合成した。この化合物の最終的な構造の確定はX線結晶構造解析によった。 2、o-テルフェニルから誘導される含硫黄大環状化合物の合成と性質 屈曲型ポリフェニレンのo-テルフェニルを用いて含硫黄環状化合物を合成し、その構造および性質について検討した。o-テルフェニルをクロロ硫酸で処理し引き続き還元反応によって前駆体ジチオールを合成した。続いてビニル基を導入しさらにはエチニル体を得た。Eglinton法によりポリインの合成を検討したところ、予想外の化合物であるクムレン誘導体が低収率ながら得られた。この化合物の最終的な構造決定はX線結晶構造解析によった。さらにこの化合物は電気化学的な性質として還元反応にラジカルアニオンの生成が確認されるなど興味深い性質が観察された。
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Research Products
(1 results)