2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16033212
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
上野 圭司 群馬大学, 工学部, 教授 (20203458)
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Keywords | ガリウム錯体 / ガリレン錯体 / 三中心二電子結合 / ガラン錯体 / 鉄 / 不飽和結合 / マンガン / α錯体 |
Research Abstract |
(1)キヌクリジンが配位して安定化されたガランGaH_3・quinuclidineとマンガンカルボニル錯体Cp^*Mn(CO)_3(Cp^*=η-C_5Me_5)を含む溶液を光照射したところ、ガランがGa-H結合でマンガンに配位して三中心二電子結合を形成したガラン錯体Cp^*Mn(CO)_2(H_3Ga・quinuclidine)(1)が得られることが分かった。錯体1は,黄色結晶として単離できたが,不安定で,現在のところ元素分析,結晶構造解析には成功していない。なお,Cp^*をCp(Cp=η-C_5H_5)に変えると,ガラン錯体はより不安定になることが分かった。支持配位子の電子効果・立体的効果によって錯体の安定性が大きく変わっており,興味深い。 (2)Cp^*(dppe)FeGaCl_2(Cp^*=η-C_5Me_5;dppe=Ph_2PCH_2CH_2PPh_2)とK_2Fe(CO)_4とを反応させることで,初めての置換基を持たないガリウム原子が架橋した二核錯体Cp^*(dppe)Fe-Ga-Fe(CO)_4(2)が得られることを昨年度見いだした。この錯体の2つのFe-Ga結合は非常に短く、ともに二重結合性を持つことが示唆され、その原因は鉄からガリウムへの逆供与が強く起こっているためと考えられた。そこで,dppeをより電子供与性の高いdmpe(dmpe=Me_2PCH_2CH_2PMe_2)に変えると逆供与がより強くなり,鉄-ガリウム結合がさらに短くなると考え,dmpe錯体の合成を行った。Cp^*(dmpe)FeGaCl_2とK_2Fe(CO)_4とをTHF中で反応させたところ,ガリウム原子が架橋した二核錯体Cp^*(dmpe)Fe-Ga-Fe(CO)_4(3)が得られた。現在,錯体3の単離を行っている。 (3)2当量のシリル鉄錯体に塩化ガリウムを反応させると、鉄上の支持配位子の大きさが小さい場合はクロロガリル架橋鉄二核錯体が生成することを見いだした。一方,支持配位子が大きいと,反応は全く進行しないことが分かった。
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